原状回復費用の相場はいくら?退去費用の内訳と高い・安いの判断基準【賃貸】

原状回復費用の相場はいくら?退去費用の内訳と高い・安いの判断基準

賃貸住宅を退去するとき、

「退去費用が10万円と言われたけど高いの?」

「原状回復費用って、普通はいくらくらい?」

「クロスの張り替えだけで、こんなにかかるの?」

「ハウスクリーニング代まで請求されているけど、払うものなの?」

このように、退去費用の金額を見て不安になる方は少なくありません。

特に困るのが、

「高い気はするけど、何を基準に判断すればいいのか分からない」

というケースです。

結論からいうと、原状回復費用は「総額が○万円だから高い・安い」と単純には判断できません。

ポイントは、

  • 何の費用なのか
  • その汚れや傷は借主負担になるのか
  • どこまで修繕する必要があるのか
  • 経過年数が考慮されているか
  • 契約書に特約があるか

などを一つずつ確認することが大切です。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも、原状回復費用を検討する場合には、修繕する範囲や方法、経過年数、借主の負担割合などを考慮する考え方が示されています。

今回のお話は、退去費用の「相場」だけを見るのではなく、その金額が自分のケースで妥当なのかを判断するための見方を解説します。


原状回復費用の相場は「総額」だけでは判断できない

まず、一番最初に知っておいてほしいことがあります。

それは、

退去費用には全国一律の「○万円」という基準があるわけではない

ということです。

同じ1LDKの部屋でも、

  • 部屋の広さ
  • 汚れや傷の程度
  • 修繕する範囲
  • 設備の状態
  • 入居年数
  • 契約内容
  • 特約の有無

などによって、必要となる費用は変わります。

国土交通省も、ガイドラインは一般的な基準を示したものであり、最終的には契約内容や物件の使用状況などを踏まえて個別に判断するものとしています。

そのため、

「退去費用が10万円だったから高い」

という判断だけでは不十分です。

逆に、

「10万円なら普通だから払う」

という判断も危険です。

総額ではなく、内訳を見ることが重要となります。


退去費用にはどんな費用が含まれる?

退去時に請求される可能性がある費用には、例えば次のようなものがあります。

クロスの補修・張り替え

壁紙の破れや、通常の使用を超える汚損などがある場合です。

ただし、壁紙の経年変化や通常損耗まで、すべて借主負担になるわけではありません。

「壁紙が少し破れているけど、これは自分の負担になるの?」という方は、クロスの具体的な判断基準をこちらの記事で詳しく解説しています。

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床の傷・へこみなどの補修

家具を置いたことによる通常のへこみなどと、物を落としたことによる大きな傷などでは考え方が異なります。

床についても、

「傷がある=すべて借主負担」ではありません。

フローリングの傷やへこみについて、「これは通常使用?それとも借主負担?」と迷っている方は、こちらの記事で具体例を紹介しています。

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ハウスクリーニング費用

退去時には、ハウスクリーニング費用が請求されることがあります。

ただし、これは契約書にどのような特約があるのかを確認することが重要です。

また、通常の清掃を怠ったことで汚れがひどくなった場合には、借主負担となる可能性があります。

国土交通省のガイドラインでも、通常の清掃を怠った場合の清掃費用について借主負担となる考え方が示されています。

「ハウスクリーニング費用まで払う必要があるの?」と疑問に感じた方は、契約書の特約も含めてこちらの記事で確認してください。

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「退去費用10万円」は高い?金額だけでは判断できません

例えば、退去費用として10万円を請求されたとします。

これだけでは、

高いとも安いとも判断できません。

例えば、

  • クロスの補修
  • 床の補修
  • 特別な清掃
  • 設備の修理

など、複数の費用が含まれている可能性があるからです。

逆に、ほとんど損傷がないにもかかわらず、高額な費用が一式で計上されているのであれば、内訳を確認する必要があります。

ここで大切なのが、

「10万円という金額」ではなく、「10万円の中身」を見る

ということです。


原状回復費用が高いか判断するときの5つのポイント

ここからが、実際に見積書を見るときに重要な部分です。

① 何の費用なのか

まず、

何に対して請求されているのか

を確認してみましょう。

例えば、

「クロス張替え」

「床補修」

「浴室清掃」

「設備修理」

などです。

「原状回復費用 一式」

だけでは内容が分かりにくいため、具体的な内訳を確認しましょう。

見積書をもらったけれど、どこを確認すればいいのか分からない方は、こちらの記事で「見るべきポイント」を順番に解説しています。

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② その修繕は本当に借主負担なのか

次に確認したいのが、

そもそも借主が負担する必要のある損傷なのか

ということです。

国土交通省のガイドラインでは、経年変化や通常損耗は借主の原状回復義務の対象ではなく、故意・過失、善管注意義務違反、通常の使用を超えるような損耗・毀損などが原状回復の対象となる考え方です。

例えば、

  • 日焼け
  • 通常使用による劣化
  • 時間の経過による設備の劣化

などと、

  • 故意に壊した
  • 不注意で大きく傷つけた
  • 清掃・手入れを怠って汚れを放置した

などでは考え方が変わります。

そもそも「原状回復って何を元に戻すこと?」という方は、まず基本ルールを確認しておくと、退去費用の判断がしやすくなります。

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③ 修繕する範囲は適切か

ここも重要です。

例えば、小さな傷が一箇所あるだけなのに、

部屋全体を新品にする費用まで借主が負担するのか?

という問題があります。

国土交通省のガイドラインでは、借主が原状回復義務を負う場合でも、補修工事が可能な最低限度の施工単位を基本とする考え方が示されています。

ただし、実際の施工単位は材料や状態によって異なります。

ここは、

「傷があるから全面交換」

と単純に考えるのではなく、

なぜその範囲の修繕が必要なのか?

を確認することが大切です。


④ 経過年数が考慮されているか

借主に原状回復義務がある場合でも、何でも新品価格をそのまま負担するわけではありません。

国土交通省のガイドラインでは、原状回復義務がある場合でも、建物や設備などの経過年数を考慮し、年数が多いほど借主の負担割合を減少させる考え方が示されています。

ただし、すべてのものが「6年でゼロ」になるわけではありません。

例えば、壁紙やカーペット、クッションフロアなどと、フローリングや設備では経過年数の考え方が異なります。

「6年住んだから退去費用はゼロになる?」と考えている方もいるかもしれません。6年ルールは少し誤解されやすいので、詳しい仕組みはこちらの記事で確認してください。

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⑤ 契約書に特約がないか

最後に忘れてはいけないのが、

賃貸借契約書です。

原状回復については、一般的なガイドラインだけでなく、契約内容や特約も確認する必要があります。

国民生活センターも、退去費用について費用負担の特約があり、貸主と借主の間で明確に合意している場合には、その特約の内容に従うことになると案内しています。

例えば、

退去時のハウスクリーニング費用は借主負担

という特約が設定されているケースがあります。

そのため、

「国交省のガイドラインでは払わなくていいはず」

と契約書を確認せずに判断するのは避けたほうがいいでしょう。


原状回復費用が「高いかも」と感じるケース

例えば、こんな場合は一度立ち止まって確認してみましょう。

ケース①「一式」で高額になっている

何にいくらかかっているのか分からない。

内訳を確認する。

ケース② 長期間住んでいたのに新品価格に近い請求

経過年数が考慮されているか確認する。

ケース③ 小さな傷なのに広範囲の修繕

なぜその範囲が必要なのか確認する。

ケース④ 通常使用による劣化まで請求されているように見える

原因と負担区分を確認する。

ケース⑤ 契約書に清掃特約がある

特約の内容と金額を確認する。


「相場」だけを調べて判断するのが危険な理由

インターネットで、

「退去費用 平均」

「原状回復費用 相場」

と検索すると、さまざまな金額が出てくると思います。

ただし、それらの数字だけを見て、

「自分は相場より高い!」

と、他の事例と金額だけを単純に比べて判断するのはおすすめしません。

部屋の広さや損傷の状態、修繕範囲、契約内容などが違えば、必要な費用も変わるからです。

国土交通省のガイドラインも、最終的な原状回復の内容や方法は、契約内容や使用状況などによって個別に判断する考え方です。

相場は参考程度。最終的には「自分の見積書の中身」を見る。

これが大切です。


退去費用が高すぎると感じたら、どうする?

まず、感情的に、

「こんな金額は絶対に払わない!」

と決めてしまわないことです。

反対に、

「言われたから払うしかない」

と、そのまま受け入れてしまうことも注意が必要です。

まずは、

  1. 見積書を確認する
  2. 請求項目を確認する
  3. 借主負担となる原因なのか確認する
  4. 修繕範囲を確認する
  5. 経過年数が関係する項目を確認する
  6. 契約書・特約を確認する
  7. 不明点があれば説明を求める

という順番で確認しましょう。

見積書を確認した結果、「やっぱりこの金額は高すぎるのでは?」と感じた場合は、すぐに結論を出さず、こちらの記事で確認すべきポイントと対処法を整理してみてください。

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退去後に追加請求された場合は?

退去立会いが終わった後に、

「後から修理箇所が見つかった」

「追加の原状回復費用が発生した」

などとして、追加請求されるケースもあります。

実際、国民生活センターにも、退去後に床の傷の修繕費用を請求されたケースや、高額なクロス張替え費用を請求されたケースなどが紹介されています。

このような場合も、

「追加請求だから絶対に払わない」

あるいは、

「請求されたから必ず払わなければならない」

と決めつけず、何の費用なのか確認することが大切です。

退去した後になって追加請求が届いた場合は、「もう退去したのに払うの?」と焦ってしまいますよね。追加請求を受けたときに確認したいポイントはこちらの記事で詳しく解説しています。

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職人目線|原状回復費用は「金額」より「何をする費用なのか」を見る

私が現場で原状回復の仕事をしていて感じるのは、

同じ「修理」という言葉でも、実際にやることは全然違う

ということです。

例えば、

「壁紙を張り替える」

と言っても、

  • 一部分の補修なのか
  • 一面なのか
  • 部屋全体なのか

で作業内容は変わります。

床も同じです。

小さな傷を補修する場合と、広い範囲を張り替える場合では当然作業内容が変わります。

だから私は、

「○万円だから高い・安い」

だけでは判断できないと思っています。

見積書を見たときには、

「この金額で、実際に何をするのだろう?」

と考えてみてください。

ここが分かるだけでも、見積書の見方がかなり変わってきます。


原状回復費用で「新品にする費用」と「借主負担」は同じではない

もう一つ覚えておきたいのが、

「修理費用=そのまま全額借主負担」ではない

ということです。

借主に原状回復義務がある場合でも、経過年数を考慮して借主の負担割合を減らす考え方があります。

また、補修可能な場合には、必要な範囲に限定するという考え方もあります。

つまり、

実際の工事費

借主が負担すべき金額

は、必ずしも同じではありません。

ここは退去費用を考えるうえで、かなり重要なポイントです。


原状回復費用を確認するときのチェックリスト

最後に、見積書を受け取ったら次の項目を確認してみてください。

□ 何の修繕費なのかが分かるか?

□ 借主負担となる原因が分かるか?

□ 修繕する範囲が分かるか?

□ 「一式」だけで内容が分からない項目がないか?

□ 経過年数を考慮する必要がある項目を確認できるか?

□ 契約書・特約の確認をしたか?

□ 清掃費用の内容を確認したか?

□ 交換が必要な場合、その理由が分かるか?

□ 不明な項目について説明を受けたか?

一つでも分からないところがあれば、確認してみましょう。


まとめ|退去費用は「相場」だけでなく内訳を見る

原状回復費用について、

「○万円なら普通」

「○万円なら高い」

と一概に決めることはできません。

重要なのは、

その金額が何のために必要なのか

を見ることです。

確認したいのは、

  • 何を修繕するのか
  • なぜ修繕が必要なのか
  • 借主負担になる原因なのか
  • どこまで修繕するのか
  • 経過年数は考慮されているか
  • 契約書に特約があるか

です。

国土交通省のガイドラインでも、原状回復費用は修繕範囲や施工方法、経過年数などを考慮して検討する考え方が示されています。

だからこそ、

「退去費用が○万円だった」

という数字だけを見て慌てる必要はありません。

まずは、

「この○万円は、何に対する費用なのか?」

と、内訳を見るところから始めてみてください。

もし納得できない費用があれば、貸主側に説明を求め、契約内容やガイドラインを参考に話し合う方法があります。国民生活センターも、納得できない原状回復費用については貸主側に説明を求め、費用負担について話し合うよう案内しています。

それでも解決が難しい場合は、消費者ホットライン188で最寄りの消費生活センターにつながります。

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