退去後に追加請求された!原状回復費用は払うべき?確認すべきポイント

賃貸住宅を退去して、

「これでやっと終わった」

と思っていたところに、

「原状回復費用として○万円を請求します」

という連絡が来たら、驚いてしまいますよね。

特に、

「退去立会いでは何も言われなかったのに……」

「もう部屋を出たのに、今さら請求されるの?」

「この金額、本当に払わないといけないの?」

と不安になる方もいると思います。

実際、国民生活センターにも、退去時の立会いでは特に原状回復が必要な箇所はないと言われたものの、後日、床の傷の修繕費用を請求されたという相談事例が掲載されています。

結論からいうと、

退去後に追加請求されたからといって、内容を確認せずにそのまま支払う必要があるとは限りません。

ただし、

「後から請求された=支払わなくていい」

ということでもありません。

まずは、

「何の費用なのか」

「なぜ自分が負担するのか」

「契約書ではどうなっているのか」

を確認することが大切です。

この記事では、退去後に原状回復費用を追加請求された場合に、どこを確認すればよいのかを分かりやすく解説します。


退去後に追加請求されたら、まず落ち着いて確認

退去後に請求書が届くと、

「すぐ払わないとまずいのでは?」

と思ってしまうかもしれません。

でも、まず確認したいのは金額よりも内容です。

例えば、

原状回復費用 20万円

とだけ書かれていても、

  • 壁紙なのか
  • 床なのか
  • ハウスクリーニングなのか
  • 設備修理なのか
  • どの部屋なのか

が分からなければ、判断できません。

国土交通省のガイドラインでも、退去後の費用精算について、見積費用の確認や合意、精算という流れが示されています。また、原状回復費用の明細を請求して説明を求めることができるとされています。

そもそも「原状回復ってどこまで借主が負担するの?」という方は、まず基本ルールを確認しておくと、追加請求の内容を判断しやすくなります。

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賃貸の原状回復とは?入居時の新品状態に戻すことではありません。民法621条と国交省ガイドラインをもとに、通常損耗・経年変化・故意過失の違い、借主負担、6年ルール、特約、退去費用の確認方法を現場目線で解説します。

「退去後に請求された=違法」ではありません

ここは誤解しないようにしましょう。

退去立会いが終わった後に、原状回復費用が請求されること自体を、それだけで違法・不当と判断することはできません。

立会い時には損傷の確認だけを行い、その後に業者の見積もりを取って、金額を精算する場合もあります。

国土交通省のガイドラインにも、退去後に

「見積費用の確認」→「見積費用の合意」→「精算」

という流れが示されています。

そのため、

「退去後に請求が来たから絶対に払わなくていい」

とは考えないほうがいいでしょう。

重要なのは、

その請求内容に根拠があるのか

です。


まず確認したい①|何の費用なのか?

最初に確認するのは、

「これは何の費用ですか?」

ということです。

例えば、

  • 壁紙の張替え
  • フローリングの補修
  • 建具の修理
  • ハウスクリーニング
  • エアコン清掃
  • 設備交換

などがあります。

「原状回復費用一式」としか書かれていなければ、

「具体的な内訳を教えていただけますか?」

と確認してみましょう。

国土交通省のガイドラインでは、原状回復費用について、賃貸人側はその内容・内訳を明らかにする必要があり、賃借人は明細を請求して説明を求めることができるとされています。


確認したい②|その傷・汚れは本当に借主負担なのか?

次に、

「なぜ自分が負担するのか?」

を考えます。

例えば、

借主負担になる可能性があるもの

  • 自分で壁紙を破った
  • 不注意で床を大きく傷つけた
  • ペットが壁や床を傷つけた
  • 掃除・手入れ不足でカビを広げた
  • タバコによるヤニや臭い

などです。

一方、

  • 経年による劣化
  • 日焼け
  • 通常使用による損耗
  • 建物側の不具合

などは、同じようには考えません。

国土交通省のガイドラインでは、通常損耗や経年変化と、借主の故意・過失等による損耗を分けて考える基本的な考え方が示されています。


退去時に請求されやすい傷や汚れには、壁紙・床・カビ・水回りなどさまざまなものがあります。どんなケースが借主負担になりやすいのかをまとめて確認したい方はこちらをご覧ください。

賃貸の原状回復で請求されやすい項目一覧|借主負担になるケースと判断基準
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確認したい③|退去立会いで確認した内容と違っていないか?

ここは特に重要です。

例えば、

「退去立会いでは問題ないと言われた」

のに、

数日後、

「床の傷の修理費として5万円請求します」

という連絡が来たケース。

この場合は、

立会い時に何を確認していたのか

を確認しましょう。

国民生活センターでも、2026年7月更新の情報の中で、立会い時には特に原状回復が必要な箇所はないと言われたのに、後日、床の傷の修繕費を求められたケースを紹介しています。

ただし、

「立会いで指摘されなかった=その後の請求は必ず無効」

とまでは言えません。

立会い時の確認書やサインの内容なども確認する必要があります。


退去立会いで「何にサインしたか分からない」という方や、立会い時の確認について詳しく知りたい方はこちらも参考にしてください。

賃貸の退去立会いでサインする前に確認すること|費用負担で後悔しない7つのポイント
賃貸住宅の退去立会いでは、管理会社や貸主の担当者と一緒に部屋の傷や汚れを確認します。そのとき、「こちらにサインをお願いし…

確認したい④|契約書や特約はどうなっているか?

退去後の請求を見るうえで、忘れてはいけないのが契約書です。

例えば、

「退去時のハウスクリーニング費用は借主負担」

などの特約がある場合があります。

国民生活センターも、契約前に「ハウスクリーニング費用は全額借主負担」など、退去時の費用負担に関する記載を確認するよう案内しています。

ただし、

特約がある=どんな請求でも無条件に認められる

と単純に考えることもできません。

特約の内容や、どの費用について合意していたのかを確認することが重要です。


退去後にハウスクリーニング費用を追加請求された場合は、契約書の特約を確認することが重要です。ハウスクリーニング費用の考え方についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

退去時のハウスクリーニング費用は借主負担?賃貸の原状回復で請求されるケースと判断基準
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確認したい⑤|修理範囲は適切なのか?

次に確認したいのが、

「どこまで修理するのか」

です。

例えば、

「壁紙の一部分に傷がある」

のに、

「部屋全体の壁紙を全部張り替える」

という見積もりになっている場合。

すぐに「不当請求だ」と決めつけるのではなく、

なぜその範囲の施工が必要なのか

を確認しましょう。

壁紙は柄や色、施工条件によって、一部分だけの補修が難しい場合があります。

国土交通省のガイドラインでも、借主負担となる場合の補修範囲について、原則として毀損部分の補修に必要な最低限の施工単位とする考え方が示されています。


確認したい⑥|経過年数は考慮されているか?

借主に原状回復義務がある場合でも、部材によっては経過年数を考慮して負担割合を減らしていく考え方があります。

特に壁紙などについては、

「何年使用されたものなのか」

が重要になります。

ただし、すべての設備や部材が同じ6年ルールではありません。


壁紙などの負担割合について「6年ルール」が気になる方は、対象となる部材や経過年数の考え方をこちらの記事で詳しく解説しています。

賃貸の原状回復「6年ルール」とは?6年以上なら退去費用は0円?対象と計算方法を解説
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「後から請求されたけど、払わなくていい?」の判断手順

迷ったときは、次の順番で確認すると分かりやすいです。

STEP1

請求書・見積書を確認する

STEP2

何の修理・清掃なのか確認する

STEP3

なぜ借主負担なのか確認する

STEP4

契約書・特約を確認する

STEP5

修理範囲・経過年数を確認する

STEP6

分からないところは貸主・管理会社へ説明を求める

この順番なら、

「高いから払わない」

という感情的な判断になりにくくなります。


退去後に追加請求されたときのNG行動

NG①「後から請求されたから絶対払わない」

これはおすすめしません。

後日請求そのものが直ちに不当とは限りません。

まず内容を確認しましょう。


NG②「管理会社が言っているから全部払う」

これも同じです。

請求された内容を確認し、

何の費用なのか

なぜ借主負担なのか

を確認してください。


NG③「金額が高いから詐欺だ」と決めつける

原状回復工事は、

  • 材料
  • 施工方法
  • 施工範囲
  • 人件費

などによって費用が変わります。

国土交通省も、原状回復費用は資材や施工方法などによって物件ごとに異なると説明しています。

そのため、

「自分がネットで見た相場より高い=不当」

とは限りません。


NG④ 感情的に連絡する

請求内容に納得できないと、

「こんなの払うわけない!」

と言いたくなるかもしれません。

ですが、

「この費用が借主負担になる根拠を教えていただけますか?」

と冷静に確認したほうが、話し合いは進めやすくなります。


職人目線|退去後の追加請求は「金額」より「何を直すのか」を見る

30年以上、内装・修繕の現場を経験してきた立場からすると、原状回復の見積もりを見るときに気になるのは、

「いくらなのか」だけではありません。

まず、

「何を直すのか?」

を考えます。

例えば、

壁紙の傷

と一言で言っても、

  • 表面だけの傷なのか
  • 下地まで傷んでいるのか
  • 部分補修できるのか
  • 一面の張り替えが必要なのか
  • 同じ柄の壁紙を入手できるのか

などで施工方法が変わります。

ドアでも同じです。

「ドアが傷ついている」

だけでは、

  • 表面補修
  • シート補修
  • 部品交換
  • 扉交換

のどれが必要なのか分かりません。

だからこそ、

「この金額は高い・安い」

だけを見るのではなく、

「なぜこの工事が必要なのか?」

を見ることが大切だと思います。


室内ドアの傷やへこみも、単純に「傷があるから交換」という判断ではありません。補修・部品交換・扉交換など、現場では状態を見ながら判断します。詳しくはこちらの記事で紹介しています。

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私の現場体験談|「軽い補修で済む」と思っていた箇所が、開けてみたら別物だった話

先日担当した現場で、
「これは壁紙を張り替えれば終わりだな」と思っていたところ、作業を始めてみたら、別の問題が見つかったことがありました。

作業内容は、脱衣場の壁紙に汚れやシミが目立っていたため、壁クロスを張り替えるというものでした。

この程度の作業であれば、私たちにとっては普段から行っている作業です。

そのため、いつも通り壁紙を剥がし始めました。

手の届く範囲の壁紙を剥がし終わり、踏み台に上がって上部のクロスを剥がそうとしたところで、あることに気が付きました。

下から見ていたときには分からなかったのですが、上部の壁に陥没したような跡があったのです。

「これはクロスを張り替えるだけでは済まなくなるんじゃない?」

と思いながら、反対側の壁も確認してみました。

すると、そこにも同じ高さの場所に同じような陥没跡がありました。


これは何の跡なんだろう?

はっきりと断定することはできませんが、

壁の位置や跡の状態から、

「これは、おそらくつっぱり棒の跡ではないかな……」

と考えました。

あくまで私の推測ですが、つっぱり棒に洗濯物などを干していたのかもしれません。

そして、湿って重くなった洗濯物、あるいは別の物を支えるために、つっぱり棒をかなり強く突っ張っていた。

その力が長期間壁に加わったことで、壁が押されて陥没したのではないかと考えました。

もちろん、実際に何があったのかは確認できていないので、これはあくまでも私の推測です。


脱衣場だったことも影響したのかもしれません

今回の場所は脱衣場でした。

脱衣場は、お風呂や洗濯などによって湿気が発生しやすい場所です。

壁の下地に使われている材料も、湿気の影響をまったく受けないわけではありません。

今回の陥没についても、

つっぱり棒などによる圧迫だけでなく、脱衣場という環境も状態に影響した可能性がある

と私は考えました。

ただし、実際にどのような経緯で陥没したのかまでは確認できません。

現場では、見えている症状だけで原因を決めつけず、

「なぜこうなったんだろう?」

と、その原因を探ることも大切です。


このままクロスを張り替えても、陥没は直らない

今回のケースで一番重要だったのは、ここです。

壁紙だけを新しくしても、下地の陥没は直りません。

そのままクロスを張ってしまえば、陥没した部分がそのまま表面に出てしまいます。

次の入居者の方に気持ちよく住んでもらうためにも、これはきちんと直しておいたほうがいい。

そう判断し、当初予定していたクロスの張り替えだけではなく、下地の補修を含めた追加工事として対応することになりました。


「追加請求」と聞くと、少し怖く感じるかもしれません

今回の話は、退去後に追加工事が必要になった現場の一例です。

ただ、ここでお伝えしたいのは、

「壁の中に問題が隠れているから、退去後に何でも追加請求される」

ということではありません。

今回のように、作業前には分からなかった部分が、実際に壁紙を剥がしてみることで初めて分かるケースがあります。

だからこそ、退去後に追加費用を請求された場合には、

「追加請求されたから払わなければいけない」

と、すぐに決めつけるのではなく、

  • 何の工事なのか
  • なぜ追加工事が必要になったのか
  • どの部分に問題があったのか
  • その費用はいくらなのか

を確認することがとても大切だと思います。


家守タクとしての補足

今回の現場では、最初に見たときは「クロスの張り替え」という比較的シンプルな作業に見えました。

ところが、実際にクロスを剥がしてみると、下地に問題が見つかりました。

現場では、このように表面だけを見ていると分からないことがあります。

だから私は、作業を始めるときには、できるだけ全体を確認してから作業に入るようにしています。

「たかがクロスの張り替え」と思っていても、開けてみたら別の問題が出てくることはあります。

今回も、最初に違和感に気付けたことで、そのままクロスを張ってしまうことを避けることができました。


納得できない請求にはどう対応する?

請求内容を確認しても納得できない場合は、

「どこが納得できないのか」を整理してから問い合わせる

ことをおすすめします。

例えば、

「この傷は入居時からありました」

「この部分については、なぜ借主負担になるのでしょうか?」

「修理範囲の根拠を教えてください」

「見積書の内訳を確認させてください」

というように、具体的に質問します。

国民生活センターも、納得できない請求については貸主側に費用の明細等の説明を求め、費用負担について話し合うよう案内しています。

それでも解決しない場合には、消費者ホットライン188などに相談する方法があります。


まとめ|退去後に追加請求されたら「払う・払わない」の前に確認

退去後に原状回復費用を追加請求されたとしても、

「後から請求されたから払わない」

と決めつける必要はありません。

反対に、

「管理会社から請求されたから全部払う」

とすぐに受け入れる必要もありません。

まず確認したいのは、

  • 何の費用なのか
  • なぜ借主負担なのか
  • 契約書や特約はどうなっているか
  • 修理範囲は適切なのか
  • 経過年数は考慮されているのか
  • 見積書の内訳は明確なのか
  • 退去立会いで何を確認したのか

です。

国土交通省のガイドラインでも、原状回復費用については、損傷の原因や補修範囲、経過年数、負担割合などを確認して精算する考え方が示されています。

そして、分からない費用については、

「この費用は何のためですか?」

「なぜ私の負担になるのでしょうか?」

と、まず説明を求めてみましょう。

納得できない場合は、一つずつ内容を確認して話し合う。

それでも解決しないときは、消費生活センターなどに相談する方法もあります。

退去後に請求が来たからといって、慌てる必要はありません。

大切なのは、請求された金額だけを見るのではなく、

「何を、なぜ、どこまで直す費用なのか」

を確認することです。

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