賃貸の排水口・排水管が詰まったら誰が払う?キッチン・浴室・洗面の修理費

賃貸住宅のキッチンで流れにくくなった排水口を確認する女性のイラスト

キッチンの水がなかなか流れない。

お風呂の排水口から水があふれそうになる。

洗面台からゴボゴボと音がする。

こんなとき、

「賃貸だから管理会社が直してくれる?」

「自分の掃除不足なら修理代を払うの?」

「すぐ業者を呼んだほうがいい?」

と迷うことがあります。

先に結論をお伝えします。

賃貸住宅の排水口・排水管の詰まりは、原因によって貸主負担か借主負担かが変わります。

建物側の排水設備の故障や老朽化、借主に原因のない排水管の不具合であれば、貸主側で修理するのが基本です。

一方で、

油や異物を流した。

日常的に必要な清掃を長期間しなかった。

借主の使い方が原因で排水管を詰まらせた。

と確認できる場合は、借主負担になる可能性があります。

ただし、

「排水が詰まった=借主の掃除不足」

とは限りません。

どこで詰まっているのか。

何が原因なのか。

一か所だけなのか。

複数の排水口で起きているのか。

によって判断が変わります。

この記事では、

キッチン。

浴室。

洗面台。

などの排水口・排水管が詰まったときに、

何を確認し、どこまで自分で対応してよいのか、いつ管理会社へ連絡すべきなのか

を、内装・修繕・原状回復の現場に30年以上携わってきた経験も踏まえて解説します。


結論|排水管の詰まりは「誰が詰まらせたか」だけでは判断できない

Q.賃貸の排水管が詰まったら修理代は借主負担ですか?

これだけでは判断できません。

確認したいのは、

詰まりの原因と場所です。

民法606条では、賃貸人は賃貸物を使用するために必要な修繕を行う義務を負うことが定められています。

ただし、

借主の責任によって修繕が必要になった場合は別です。

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」でも、

貸主が住宅を使用するために必要な修繕を行うこと。

借主の故意・過失によって必要になった修繕費は借主が負担すること。

という考え方が示されています。

つまり、

排水設備だから必ず大家さんが払う

でも、

使っていた借主が必ず払う

でもありません。

まず原因を確認する必要があります。


排水口と排水管は同じように見えても確認する場所が違う

「排水が詰まった」といっても、詰まっている場所は一つではありません。

例えばキッチンなら、

排水口。

ごみ受け。

排水トラップ。

シンク下の排水管。

その先の排水管。

建物の共用排水管。

と続いています。

浴室や洗面台も同じです。

そのため、

排水口のすぐ近くに髪の毛が詰まっているケース

と、

壁や床の中、その先の共用排水管で詰まっているケース

では話が違います。

見えるところを掃除しただけで直る場合もあれば、専門業者による確認が必要な場合もあります。

なお、水の流れはそれほど悪くないのに、排水口を掃除しても臭いが消えない・何度も臭いが戻るという場合は、詰まりとは別の確認が必要になることがあります。

「掃除はした。それでも臭う」という方は、こちらの記事で、次に確認することと管理会社へ相談する目安をまとめています。

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借主負担になる可能性がある排水詰まり

借主側の使い方が原因だと確認できれば、修理費が借主負担になる可能性があります。

代表的なのは、

油を多く流していた

キッチンでは注意したい原因です。

油は排水管へ流したあと、温度が下がると管の中で固まり、詰まりや悪臭の原因になることがあります。

「液体だから水と一緒に流れていく」

とは考えないほうがよいでしょう。

食器やフライパンに多く残った油は、できるだけ拭き取ってから洗うことが予防につながります。

食べ物や異物を流した

大きな食べ物。

包装材。

スポンジ片。

小物。

など、本来流すものではない物が排水管へ入り、その異物が原因と確認できれば、借主側の負担になる可能性があります。

排水口の清掃を長期間していなかった

浴室や洗面台では、

髪の毛。

石けんかす。

皮脂など。

が排水口周辺へたまります。

ただし、

髪の毛が原因らしい=必ず借主負担

と単純には判断しません。

日常的に確認できる排水口を長期間まったく清掃しておらず、それが直接の原因と確認できるのか。

排水管のさらに奥で別の問題が起きているのか。

状況を見る必要があります。


貸主側の修理になる可能性があるケース

一方で、借主が普通に使用していて発生した排水設備の故障や不具合まで、当然に借主負担になるわけではありません。

例えば、

排水管そのものの老朽化。

排水管の破損や変形。

施工上の問題。

建物側の排水設備の不具合。

共用部分の排水管の詰まり。

借主の使い方とは関係のない設備故障。

などが考えられます。

民法606条では、住宅を使用するために必要な修繕は原則として貸主が行うことになっています。

ですから、

「入居者が住んでいる部屋で詰まったから、入居者負担」

とは一律に判断できません。

賃貸の排水管詰まりで借主負担になる原因と貸主側の修理になる原因を比較した図

設備故障の貸主・借主負担については、「賃貸の設備が壊れたら誰が修理する?貸主・借主の負担と故障時の対処法」でも詳しく解説しています。

賃貸の設備が壊れたら誰が修理する?貸主・借主の負担と故障時の対処法
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キッチンの排水が詰まったときに見るところ

Q.キッチンの水が流れにくくなりました。自分の責任ですか?

流れが悪いというだけでは判断できません。

まず確認したいのは、

排水口のごみ受けに食べ物がたまっていないか。

見える部分に異物がないか。

油を大量に流した覚えがないか。

排水トラップ付近だけの問題なのか。

です。

キッチンの場合は油汚れが原因になることがあります。

油は少しずつ排水管の内側に付着して、すぐには完全に詰まらず、

以前より水の引きが遅くなった

という形から始まることもあります。

ただし、

見える場所を掃除しても改善しない。

何度も詰まる。

ゴボゴボと大きな音がする。

ほかの排水口まで流れが悪い。

という場合は、もっと先の排水管で問題が起きている可能性もあります。

自己判断で配管を分解する前に、管理会社へ連絡したほうがよいでしょう。


浴室の排水口が詰まった場合

浴室では、まず排水口周辺の髪の毛や汚れを確認します。

Q.お風呂の排水口に髪の毛がたまっていました。借主負担ですか?

髪の毛があったというだけでは判断できません。

髪の毛は普通に生活していて出るものです。

一方で、取り外して清掃できるヘアキャッチャーなどに大量の髪の毛が長期間たまっており、それが明らかに排水を塞いでいる場合は、日常的な清掃で防げた可能性があります。

まずは、

見える髪の毛。

ヘアキャッチャー。

取り外して清掃することを想定された部品。

など、通常の清掃範囲を確認します。

それでも改善しない場合は、排水管のさらに奥で詰まっている可能性があります。

「髪の毛だから自分で何とかしなければ」

と決めつけて、配管の奥まで器具を入れる必要はありません。


洗面台の排水が遅い場合

洗面台も浴室と同じように、

髪の毛。

石けん。

皮脂。

小さな異物。

などが原因になることがあります。

また、

アクセサリー。

小さな化粧品用品。

その他の穴に入ってしまうサイズの小物

などを誤って落としてしまうこともあります。

実際の現場では、洗面台の排水に歯ブラシが入っていたこともありました。

Q.洗面台に小物を落としてから水が流れません。

落とした物が原因の可能性があるなら、早めに管理会社へ伝えてください。

無理に水を流し続けると、異物がさらに奥へ移動することもあります。

何を落とした可能性があるのか分かっている場合は、

その情報も修理する人に伝える

ことが大切です。


一か所だけか、複数の排水口で起きているかを見る

現場で排水不良を見るとき、私が確認したいことの一つが、

どこまで同じ症状が出ているか

です。

例えば、

キッチンだけ流れない。

浴室だけ流れない。

なら、その近くの排水経路をまず考えます。

一方で、

キッチンも洗面も流れが悪い。

浴室の水を流すと別の排水口がゴボゴボ鳴る。

複数の場所で同じ時期に異常が出た。

という場合は、その先の排水管も確認する必要があります。

ただし、

症状だけで詰まりの場所を断定することはできません。

「複数なら必ず共用管」

という意味ではありません。

あくまで原因を探すための手掛かりです。

キッチン・洗面台・浴室の一か所だけの排水不良と複数箇所の排水不良を比較した図

ゴボゴボ音・逆流・水があふれそうなときは放置しない

排水口からゴボゴボ音がする。

水位が上がってくる。

別の排水口から水が戻ってくる。

床へあふれそう。

このような状態なら、

無理に大量の水を流して確認するのはやめてください。

詰まりがある状態でさらに水を流せば、逆流や水漏れにつながることがあります。

賃貸住宅では、自分の部屋だけでなく階下などへ被害が広がる可能性もあります。

民法615条では、賃借物が修繕を要するときは、貸主がすでにその事情を知っている場合を除き、借主は遅滞なくその旨を貸主へ通知しなければならないとされています。

異常に気付いたら、

使用を控える。

写真や動画を残す。

いつから症状が出たか整理する。

管理会社・貸主へ連絡する。

という順番で動くとよいでしょう。


自分で業者を呼ぶ前に管理会社へ連絡したほうがよい

Q.排水が詰まったので、ネットで見つけた水道業者をすぐ呼んでもいいですか?

賃貸住宅では、まず管理会社・貸主へ連絡することをおすすめします。

理由は、

建物指定の修理業者がいる場合がある。

貸主側で対応する設備故障かもしれない。

共用排水管の問題かもしれない。

修理費の負担者がまだ決まっていない。

からです。

東京都下水道局も、集合住宅で排水設備のトラブルが起きた場合には、まず建物の管理会社へ相談するよう案内しています。

また、排水詰まりでは、

インターネット広告の安い料金を見て業者を呼んだところ、高額な修理契約になった

というトラブルについても公的機関から注意喚起されています。

急いでいるときほど、

「とりあえず一番上に出た業者へ電話」

ではなく、賃貸住宅なら管理会社への連絡を優先しましょう。


自分でできるのは「見える範囲の確認」までを基本にする

排水が少し悪いからといって、何でも専門業者が必要というわけではありません。

例えば、

排水口のごみを取る。

ヘアキャッチャーの髪の毛を取り除く。

取り外して清掃することが前提になっている部品を洗う。

という通常の清掃で改善することもあります。

一方で、

排水管の奥へワイヤーを強く押し込む。

配管を自己判断で分解する。

強い薬剤を大量に使う。

異なる洗浄剤を混ぜる。

詰まっているのに大量の水を流す。

といった対応はおすすめしません。

賃貸住宅では、

最初の詰まりより、自分で直そうとして配管や部品を傷めたことのほうが問題になる

こともあります。

見える範囲を確認して改善しない場合は、そこで一度止めてください。


職人目線|「詰まった場所」より先に「症状の出方」を聞く

現場で排水の相談を受けたとき、

私はいきなり、

「配管が詰まっていますね」

とすぐに決めつけることはありません。

まず聞きたいのは、

いつから流れが悪いのか。

急に詰まったのか。

少しずつ悪くなったのか。

どこの排水口なのか。

一か所だけなのか。

ほかの場所も流れにくいのか。

水を流すと音がするのか。

逆流したことがあるのか。

何か落とした覚えがあるのか。

などの情報を集めることが優先です。

例えば、

昨日までは普通だったのに、小物を落としてから急に流れない。

という話と、

何か月も前から少しずつキッチンの水が引きにくくなっていた。

という話では、考える原因が変わります。

また、

一つの排水口だけを見るより、

家全体でどの排水が正常で、どこがおかしいのか

を確認すると手掛かりが増えます。

排水の詰まりは、

見えている排水口が悪いとは限りません。

現場では、

「どこが詰まった?」

だけではなく、

「いつ、どこで、どんな症状が出ている?」

という情報を集め、それらを総合して原因を絞っていきます。

排水の流れ方や症状を確認しながら詰まりの原因を判断する職人の図

「前から流れが悪かった」を放置しない

水は流れている。

でも前より遅い。

少しゴボゴボする。

時々水位が上がる。

この段階だと、

「まだ使えるから大丈夫」

と思いやすいものです。

しかし、排水不良は完全に流れなくなる前から症状が出ることがあります。

異常に気付いていたのに長期間放置し、その結果として水があふれ、床など別の場所まで被害が広がれば、

詰まりそのものとは別に、被害を拡大させた経緯

も確認される可能性があります。

「賃貸の善管注意義務とは?水漏れ・カビの放置で借主負担になるケースと判断基準」でも解説していますが、

異常を見つけたときは、

原因を自分で断定する必要はなくても、必要な連絡は早めにする

ことが大切です。

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トイレの詰まりは別に確認する

この記事では、

キッチン。

浴室。

洗面台。

などの排水を中心に解説しています。

トイレは、

トイレットペーパー。

異物。

便器。

排水管。

など、確認するポイントが少し違います。

トイレが詰まった場合は、

「賃貸のトイレの詰まり・水漏れは誰が払う?借主負担になるケースと修理費の判断基準」

で詳しく解説しています。

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NG行動|排水が詰まったときに避けたいこと

「詰まり=自分の掃除不足」と決めつける

違います。

設備の故障や排水管の問題など、借主に原因がない場合もあります。

「賃貸設備だから全部大家さんが払う」と考える

違います。

借主の故意・過失などが原因と確認された場合は、借主負担になる可能性があります。

水が流れないのに何度も大量の水を流す

やめてください。

逆流やあふれにつながる可能性があります。

原因不明のまま配管を分解する

おすすめしません。

部品や接続部を傷める可能性があります。

管理会社へ連絡せず、すぐ修理業者を手配する

急ぐ前に確認してください。

建物指定の業者や貸主側で対応する設備故障の場合があります。

緊急時を除き、まず管理会社・貸主へ連絡するのが安全です。


Q&A|賃貸の排水口・排水管の詰まり

Q.キッチンの油詰まりは借主負担ですか?

油を流したことが原因と確認された場合は、借主負担になる可能性があります。

ただし、キッチンが詰まったというだけで油が原因とは判断できません。

Q.浴室の髪の毛による詰まりは借主負担ですか?

場合によります。

通常の清掃で取り除ける場所へ大量の髪の毛が長期間たまっていたのか、排水管の奥で別の原因があるのかを確認する必要があります。

Q.普通に使っていたのに排水管が詰まりました。自分で払いますか?

普通に使っていたというだけでも、逆に貸主負担と確定するわけではありません。

原因を確認してください。

設備の老朽化や建物側の排水管などに原因があれば、貸主側の修理になる可能性があります。

Q.キッチンとお風呂が同時に流れにくくなりました。

管理会社へ連絡することをおすすめします。

複数の排水で症状が出ている場合、個々の排水口より先の排水経路に問題がある可能性もあります。

ただし、症状だけで場所は断定できません。

Q.少しゴボゴボするだけなら様子を見ても大丈夫ですか?

異常が続くなら一度確認してください。

以前と明らかに違う状態なら、完全に詰まるまで待つ必要はありません。

Q.自分で水道修理業者を呼んで費用を立て替えてもいいですか?

先に管理会社・貸主へ確認するのが基本です。

原因や契約内容によって負担者が変わるため、自己判断で依頼すると費用の扱いでトラブルになる可能性があります。


まとめ|排水詰まりは原因と場所を確認してから負担を判断する

賃貸住宅でキッチン・浴室・洗面台の排水が詰まったとき、

「排水管は設備だから大家さん負担」

とも、

「自分が使っていたから借主負担」

とも一律には判断できません。

見るべきなのは、

原因。

詰まっている場所。

使い方。

設備の状態。

症状の出方。

契約内容。

です。

油や異物など、借主側の使い方が原因と確認された場合は、借主負担になる可能性があります。

一方で、

老朽化。

設備故障。

建物側の排水管。

共用部分。

など、借主に原因がない場合は貸主側の修理になる可能性があります。

そして一番大切なのは、

原因が分からない段階で、自分の責任だと決めつけないことです。

排水口の見える範囲を確認しても改善しない。

複数の排水口で異常がある。

ゴボゴボ音や逆流がある。

水があふれそう。

何度も再発する。

このような場合は、

無理に自分で直そうとせず、管理会社・貸主へ状況を伝えてください。

現場では、

「どこが詰まったのか」だけではなく、「いつから、どんなふうにおかしくなったのか」

が原因を判断する大切な手掛かりになります。

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