賃貸を退去するとき粗大ごみ・残置物を残したらどうなる?処分費と注意点

賃貸退去前に部屋に残った粗大ごみや家具を見て確認する女性のイラスト

引っ越しの荷造りを進めていると、

「このタンス、持って行かないことにした」

「古い冷蔵庫を処分する時間がない」

「粗大ごみの回収日が退去日に間に合わない」

ということがあります。

退去直前になってから、

「少しくらいなら部屋に残しても大丈夫かな」

「管理会社が処分してくれるのでは?」

と思う人もいるかもしれません。

先に結論をお伝えします。

粗大ごみや自分の家具・家電・日用品を、自己判断で部屋に残して退去することはおすすめできません。

残した物を貸主側で搬出・処分する必要が生じれば、契約内容や実際にかかった費用などによって、

処分費や搬出費を請求される可能性があります。

また、

「まだ使える物だから残しておけば次の入居者が使うだろう」

という判断も避けてください。

残してよい物があるなら、事前に管理会社・貸主へ確認します。

この記事では、

  • 粗大ごみを残して退去したらどうなるのか
  • 残置物とは何か
  • 処分費は誰が払うのか
  • 家具や家電を置いていってよいのか
  • 粗大ごみの回収が間に合わないときの対応
  • 家電リサイクル法の対象になる物
  • 退去前に簡単にできるごみ対策

を、内装・修繕・原状回復の現場に30年以上携わってきた経験も踏まえて解説します。


結論|粗大ごみや私物を残したまま退去しない

Q.退去日までに粗大ごみを捨てられません。部屋に残してもいいですか?

自己判断で残すことはおすすめできません。

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では、借主は契約が終了する日までに物件を明け渡すこととされています。

退去するときは、

自分の家具。

家電。

衣類。

生活用品。

ごみ。

など、自分が持ち込んだ物は基本的に整理しておく必要があります。

もちろん、

貸主から、

「その棚は残して構いません」

「この照明はそのままで大丈夫です」

などと了承を得ている場合は別です。

大切なのは、

借主が勝手に「これは置いていっても大丈夫だろう」と決めないこと

です。


「残置物」とは何?

賃貸住宅でいう残置物とは、一般的には、

退去後も部屋などに残された家具・家電・日用品などの物

を指します。

例えば、

  • ベッド
  • タンス
  • テーブル
  • 椅子
  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • 電子レンジ
  • カーテン
  • 衣類
  • 段ボール
  • 不用品
  • ごみ

などです。

ただし、

残っている物=すべてごみ

とは限りません。

まだ価値がある物。

本人が取りに戻るつもりだった物。

処分する意思が明確ではない物。

などもあります。

そのため貸主側から見ても、

部屋に残っているから何でも自由に捨ててよい

とは簡単に判断できない場合があります。

だからこそ、

「残しておけば管理会社が処分してくれるだろう」

とは考えないほうがよいでしょう。


残したごみの処分費を請求されることはある?

Q.家具やごみを残したら処分費を払いますか?

請求される可能性があります。

例えば、

家具を室外へ搬出する。

処分場まで運ぶ。

粗大ごみとして処理する。

専門業者へ処分を依頼する。

といった作業が必要になれば、費用が発生します。

その費用を誰が負担するかは、

契約書の内容。

残した物。

量。

処分方法。

実際にかかった費用。

などを確認する必要があります。

ですから、

「残置物処分費」と書いてあるだけで、どんな金額でもそのまま払う

ということでもありません。

退去後に処分費を請求された場合は、

何を処分したのか。

どのくらいの量だったのか。

搬出費はいくらなのか。

処分費はいくらなのか。

契約書にはどのような定めがあるのか。

を確認してください。

敷金の精算と一緒に差し引かれている場合も、内容が分からなければ内訳を確認します。


「捨てる物だから置いて帰る」は避ける

借主からすると、

「これはもういらない物だから、ごみです」

という感覚かもしれません。

しかし貸主・管理会社からすると、

部屋に残された家具や荷物を、

本当に処分してよい物なのか。

借主が処分を希望していることを確認できる物なのか。

あとから取りに来る物なのか。

確認しなければならない場合があります。

そのため、

「自分はいらない=貸主が自由に捨ててよい」

とは限りません。

処分する予定の物なら、

できるだけ自分で適切に処分してから退去します。


「まだ使える家具だから残しても喜ばれる」と自己判断しない

Q.まだ使える棚や照明なら、次の入居者が使えるので残してもいいですか?

管理会社・貸主の了承がなければ残さないほうがよいでしょう。

借主からすると、

「まだきれいだから使える」

と思う物でも、

貸主側では、

次の入居者へ貸す設備として管理したくない。

故障したときの責任が生じる。

部屋の募集条件と合わない。

次の入居者が不要と考える。

ということがあります。

例えば、

自分で取り付けた棚。

照明器具。

収納家具。

カーテン。

物干し用品。

などです。

残したい物がある場合は、

退去日より前に管理会社へ確認する

のが安全です。

「置いていって構わない」と言われた場合も、あとで認識が食い違わないよう、メールなど記録が残る形で確認できると安心です。


粗大ごみは退去直前では間に合わないことがある

引っ越し準備で意外と困るのが、

大型家具の処分です。

例えば、

ベッド。

マットレス。

タンス。

テーブル。

椅子。

棚。

などです。

粗大ごみの出し方は自治体によって異なります。

事前の申し込みが必要な地域。

処理券を購入する地域。

自分で処理施設へ持ち込める地域。

などがあります。

また、希望した日に必ず回収してもらえるとは限りません。

そのため、

「退去日の前日に初めて粗大ごみを調べる」

これでは遅い場合があります。

引っ越し日が決まったら、早めに住んでいる自治体の公式サイトで、

粗大ごみの対象。

申し込み方法。

回収日。

料金。

持ち込みの可否。

を確認してください。


冷蔵庫・洗濯機などは普通の粗大ごみと処分方法が違う

ここは特に注意してください。

Q.古い冷蔵庫や洗濯機を粗大ごみに出せますか?

通常の粗大ごみと同じ処分方法ではありません。

家電リサイクル法では、家庭用の、

エアコン

テレビ

冷蔵庫・冷凍庫

洗濯機・衣類乾燥機

の4品目について、決められた方法でリサイクルする仕組みになっています。

買い替える場合は新しい製品を購入する販売店。

処分だけの場合は購入した販売店。

購入店が分からない場合などは、住んでいる市区町村が案内する方法。

などを確認します。

「退去日に粗大ごみ置き場へ置いていけばよい」

とは考えないようにしましょう。

家電リサイクル法の対象となるエアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4品目を示す図

ごみ置き場に置いて退去すればいい?

Q.部屋ではなく、アパートのごみ置き場に置けば問題ありませんか?

その地域・建物のルールに従う必要があります。

通常の可燃ごみでも、

収集曜日。

分別方法。

指定袋。

などのルールがあります。

粗大ごみなら、通常ごみとは別の申し込みが必要になる地域もあります。

建物のごみ置き場だからといって、

何でも自由に置いてよい場所ではありません。

収集されない家具や家電を置いたまま退去すると、結果的に管理会社側で処理が必要になることもあります。

必ず自治体と建物のルールを確認してください。


急いでいても「何でも無料回収」の業者には注意する

退去日が迫ると、

「今日中に処分します」

「何でも無料回収」

といった業者を見つけると頼みたくなるかもしれません。

しかし、家庭から出るごみを業として回収するには、原則として市区町村の一般廃棄物処理業の許可や委託が必要です。

環境省も、

無許可の廃棄物回収業者を利用しないよう注意喚起しています。

無許可業者による、

不法投棄。

不適正処理。

高額料金の請求。

などの事例も報告されています。

時間がないときほど、

まず自治体の公式サイトや自治体が案内する方法を確認する

ようにしてください。


粗大ごみの処分が退去日に間に合わないときは?

Q.回収予約が退去日より後しか取れません。どうすればいいですか?

そのまま部屋へ残す前に、管理会社へ相談してください。

対応は物件や状況によって異なります。

例えば、

自治体の処理施設へ自分で持ち込めるのか。

適切な収集業者を利用できるのか。

引越事業者に不用品処分の案内があるのか。

管理会社側で対応可能なのか。

を確認します。

大切なのは、

退去当日になってから「処分できませんでした」と伝えるのではなく、間に合わないと分かった時点で動くこと

です。


退去前チェック|最後に収納の中も確認する

荷物をすべて運び出したつもりでも、

意外なところに物が残っています。

例えば、

押し入れの天袋。

キッチンの吊り戸棚。

洗面台の収納。

靴箱。

ベランダ。

物置。

洗濯機置き場。

冷蔵庫の裏。

です。

特に、

普段目線より高い場所

と、

家具や家電で隠れていた場所

は見落としやすくなります。


予防のひとこと|「大きな物だけ先に数える」

粗大ごみや残置物の問題を防ぐために、難しい準備は必要ありません。

引っ越し日が決まったら、

持って行かない大きな物だけ先に数えてください。

例えば、

「ベッド1台」

「タンス1台」

「古いテレビ1台」

「使わない洗濯機1台」

という程度で構いません。

そのうえで、

持って行く

売る・譲る

自治体で処分する

家電リサイクルの方法で処分する

のどれなのかを決めます。

小さな物は荷造りしながら整理できます。

しかし、大型家具や家電は、

処分方法を調べる

予約する

運び出す

という時間が必要です。

だからこそ、

「大きな物だけ先に決める」

これだけでも退去直前の慌ただしさをかなり減らせます。

そしてもう一つ。

粗大ごみの予約をしたら、

回収日が退去日より前になっているか

も確認してください。

予約しただけで安心してしまうと、最後に間に合わないことがあります。

退去前に大型家具や家電を持って行く・売る・粗大ごみ・リサイクルに分けて整理する図

自分で全部運べない場合は無理をしない

大型家具は重い物があります。

タンス。

ベッド。

冷蔵庫。

洗濯機。

などを無理に一人で運ぶと、

家具を落とす。

壁を傷つける。

床を引きずる。

腰を痛める。

といった問題につながります。

処分費を節約するために無理をして、

壁や床まで傷つけてしまえば、別の修理費が発生する可能性があります。

大型家具を動かすときは、

無理に一人で運ばない。

搬出経路を先に確認する。

床や壁を養生する。

必要なら引越事業者などへ相談する。

といった方法を考えてください。

引っ越し作業で壁や床を傷つけた場合については、「引っ越しで壁や床を傷つけたら誰が払う?賃貸の退去費用と引越業者が付けた傷の対処法」で詳しく解説しています。

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職人目線|最後は「何もない部屋」を一周する

退去前の部屋を見るとき、

私は傷や汚れだけでなく、

物が残っていないか

も確認します。

家具がなくなると、

今まで見えなかった場所が見えてきます。

冷蔵庫の裏。

洗濯機の横。

棚の奥。

押し入れ。

ベランダ。

部屋の隅。

です。

荷物を運び終えた本人は、

「全部出した」

という気持ちになっています。

でも、そこで一度、

玄関から部屋を一周してみる

だけで、忘れ物や残置物に気付くことがあります。

難しい作業ではありません。

最後に、

収納を開ける。

ベランダを見る。

家具があった場所を見る。

これだけです。

現場では大掛かりな修理だけでなく、

こういう小さな確認で防げるトラブルもたくさんあります。

退去後の空室を一周して収納やベランダに残置物がないか確認する職人の図

NG行動|退去するときに避けたいごみの処分

「少しくらいなら管理会社が捨ててくれる」と残す

おすすめしません。

搬出や処分に費用が発生し、請求される可能性があります。

「まだ使えるから次の人が使うだろう」と家具を置いていく

自己判断では残さないでください。

管理会社・貸主へ事前に確認します。

粗大ごみを普通のごみ置き場へ置く

自治体と建物のルールを確認してください。

粗大ごみは通常ごみとは処分方法が異なる場合があります。

冷蔵庫や洗濯機を普通の粗大ごみとして出す

違います。

家電リサイクル法の対象となる家電4品目は、決められた方法で処分します。

退去前日に初めて粗大ごみを調べる

できるだけ避けましょう。

希望する回収日に申し込めない場合があります。

急いでいるから無許可の回収業者へ頼む

おすすめできません。

自治体が案内する処分方法を確認してください。


Q&A|賃貸退去時の粗大ごみ・残置物

Q.椅子1脚だけなら残しても大丈夫ですか?

自己判断では残さないでください。

大きさや個数にかかわらず、自分の物を残したい場合は管理会社・貸主へ確認してください。

Q.残した家具の処分費はいくらですか?

一律には決まっていません。

家具の種類、量、搬出作業、処分方法などによって変わります。請求された場合は内訳を確認してください。

Q.敷金から残置物の処分費を引かれることはありますか?

契約内容や実際の処理状況によってはあります。

残置物の処分費などが借主の負担として発生している場合は、敷金の精算時に差し引かれる可能性があります。
ただし、金額や根拠が分からない場合は、処分した物と費用の内訳を確認してください。

Q.管理会社から「棚は残していい」と言われました。置いていって大丈夫ですか?

はい。貸主側が了承しているのであれば、その合意内容に従います。

できればメールなど、あとから確認できる形で残しておくと安心です。

Q.退去日に粗大ごみの回収が間に合いません。

そのまま残す前に管理会社へ相談してください。

同時に、自治体の持ち込み処分など別の方法がないか確認します。

Q.テレビはマンションの粗大ごみ置き場へ出せますか?

通常の粗大ごみとしては処分できません。

家庭用テレビは家電リサイクル法の対象です。販売店や自治体が案内する方法を確認してください。

Q.ごみを全部出せば退去準備は終わりですか?

ごみ以外も確認してください。

収納の中、ベランダ、物置、鍵、設備、壁や床の状態なども確認してから退去します。


まとめ|粗大ごみは「退去直前」ではなく「引っ越しが決まったとき」から考える

賃貸住宅を退去するとき、

粗大ごみや私物を残しておけば管理会社が処分してくれる

とは考えないほうがよいでしょう。

残置物の処理に費用がかかれば、契約内容や実際の処理状況によって、

処分費。

搬出費。

などを請求される可能性があります。

また、

「まだ使えるから」

という理由だけで家具や設備を残すことも避けます。

残してよい物があるなら、管理会社・貸主へ事前に確認してください。

粗大ごみについては、

引っ越し日が決まったら、大きな物だけ先に数える。

そして、

持って行くのか。

売る・譲るのか。

処分するのか。

を決めます。

特に、

エアコン。

テレビ。

冷蔵庫・冷凍庫。

洗濯機・衣類乾燥機。

は、家電リサイクル法の対象なので、通常の粗大ごみとは処分方法が異なります。

最後に荷物を運び終えたら、

何もなくなった部屋を一周する。

収納を開ける。

ベランダを見る。

家具があった場所を見る。

たった数分でも構いません。

こうした小さな確認で、

「退去後に荷物が残っていました」

というトラブルは防ぎやすくなります。

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参考資料