賃貸のフローリングの傷は借主負担?全面張替え・退去費用と6年ルールを解説 

賃貸のフローリングの傷と全面張替え・退去費用を心配する女性

賃貸のフローリングに傷を見つけると、

「これ、退去するときに請求されるのかな」

「小さな傷なのに、部屋全部の張替えと言われたらどうしよう」

「6年以上住んでいるけど、それでも払うの?」

と気になると思います。

すでに退去が近い人もいれば、立会いで傷を指摘された人、見積書を受け取ってから調べている人もいるでしょう。

中には、

「自分で付けた傷なら、必要な修理代は払うつもり」

と考えている人もいるはずです。

ただ、自分に傷を付けた責任があることと、提示された工事範囲や金額をそのまま全部負担することは同じではありません。

この記事では、傷の原因を無理に当てることより、

「今の自分は何を確認すればいいのか」
「何をその場で決めなくてもいいのか」
「分からないときに、どう聞けばいいのか」

まで分かるように整理します。

結論|フローリングに傷を付けても、部屋全部の張替え費用をそのまま負担するとは限らない

自分で付けた傷に心当たりがあれば、

「自分が悪いんだから、修理代は払うことになるよな」

と思うかもしれません。

実際、不注意などによって付けた傷であれば、借主負担になる可能性はあります。

ただし、

「傷を付けたことに責任がある」

ことと、

「実際に行う工事の費用を、すべて借主が負担する」

ことは分けて考える必要があります。

たとえば、傷は一部分でも、施工上はもっと広い範囲を直すことがあります。

一方で、工事として一室を張り替えることになったからといって、その工事費をそのまま全額借主が負担すると決まるわけでもありません。

まず整理したいのは、

・どこまで直す工事なのか
・そのうち、どこまでを借主負担としているのか

この2つです。

ここを分けて考えるだけでも、

「全面張替えと言われた=全部自分で払う」

と一気に結論を出さずに済みます。

まず確認|退去前・立会い・請求後では、やることが違う

同じフローリングの傷でも、今どの段階にいるかで確認することは変わります。

まず、自分が今どこにいるのかだけ確認してみてください。

フローリングの傷を退去前・立会い・請求後の3段階に分けた確認フロー

退去前にフローリングの傷を見つけた

まだ退去立会い前なら、まずは今の状態を残してください。

傷の位置が分かる写真と、傷そのものが分かる写真を撮っておきます。

入居時の写真やチェックシートが残っていれば、同じ場所も見てみましょう。

自分で直すかどうかは、そのあと考えれば十分です。

「退去までに何とか目立たなくしないと」

と先に手を加えてしまうと、かえって状態が分かりにくくなることがあります。

退去立会いで傷を指摘された

立会いで、

「ここに傷がありますね」

と言われることもあるでしょう。

そのとき、傷があることを確認するのと、その場で負担内容まで受け入れることは別です。

工事範囲や金額がまだ分からないなら、その場ですべて判断する必要はありません。

相手より詳しくなる必要もありません。

分からないところを、

「そこをもう少し確認させてください」

と言えるだけでも十分です。

見積書・請求書がすでに届いている

すでに金額が出ているなら、傷の原因を一から考え続けるより、

「何に対する請求なのか」

を確認する段階です。

どこを直すのか。

どこまで施工するのか。

そのうち、どこまでを借主負担としているのか。

数量や単価はどうなっているのか。

契約内容や経過年数はどう扱われているのか。

合計金額だけを見るより、中身を一つずつ分けて見たほうが判断しやすくなります。

少しの傷でも1部屋分を張り替えることはある?|工事範囲と借主の負担範囲は別に考える

「傷はここだけなのに、どうして部屋全部を張り替えるの?」

これは当然出てくる疑問だと思います。

フローリング1枚分ほどの傷なら、

「そこだけ交換すれば済むのでは?」

と思いますよね。

ただ、床工事は必ずしもそこまで単純ではありません。

フローリングは1枚だけ簡単に交換できるとは限らない

フローリングには、板と板を組み合わせながら施工しているものがあります。

そのため、完成した床の真ん中から傷んだ1枚だけを取り外し、新しい1枚を入れれば終わり、とはいかない場合があります。

もちろん、床材や施工方法、傷の場所によっては部分的な対応ができることもあります。

ですから、

「フローリングは1枚だけ交換できない」

と決めつけるのも違います。

借主側から見れば「1枚分の傷」でも、施工する側から見ると、その1枚だけで工事が完結しないことがある。

まずはその程度に理解しておけば十分です。

1枚だけ交換できても、そこだけ新品に見えることがある

もう一つ、現場では仕上がりも見ます。

何年も使ってきた床は、日差しや日常使用によって少しずつ色や艶が変わっています。

そこへ新品のフローリングを1枚だけ入れると、

「そこだけ妙に新しい」

という見え方になることがあります。

同じ柄に見えても、既存部分と色や艶がそろわず、補修した場所がかえって目立つこともあります。

つまり、

「交換できるか」

と、

「交換したあと自然に見えるか」

は別の話です。

貸す側が床全体の見た目を整えたい事情もある

ここは、借りている側からは少し見えにくいところです。

貸主にとって、その部屋は退去後に次の入居者へ貸す部屋でもあります。

たとえば床全体は何年も使われた色や艶なのに、1〜2枚だけ新品のように見えていたら、次に部屋を見に来た人が、

「ここだけ新しいけど、何かあったのかな?」

と気になることもあります。

もし自分が次に部屋を借りる立場だったとして、家賃も条件も同じなら、

床全体の見た目がそろっている部屋と、一部分だけ色や艶が違って見える部屋。

どちらを選びやすいでしょうか。

貸す側からすれば、こうした違和感をできるだけ残さず、部屋全体の見た目を整えて次の入居者へ渡したい事情もあります。

だからといって、少し傷があれば必ず一室全部を張り替えるという意味ではありません。

ただ、

「なぜ傷は少しなのに、もっと広い範囲を直す話になることがあるのか」

には、施工方法だけでなく、その後に貸す部屋として仕上がりを整えたい事情もあるということです。

「全面張替えと言われた=必要以上の工事をしようとしている」

と最初から決めつけなくてもよい理由の一つです。

フローリングを一部だけ交換した場合の色艶の違いと工事範囲・借主負担範囲の違い

ただし「1部屋張り替える」=「1部屋分を借主が全額払う」ではない

ここは、この記事で私たちが一番大切にしたいところです。

貸主側が、部屋をきれいに仕上げるために広い範囲の工事を選ぶこと。

借主が付けた傷について、借主がどこまで費用を負担するのか。

これは別に確認します。

国土交通省の原状回復ガイドラインでも、原状回復はできるだけ傷んだ部分に限定し、最低限度の施工単位を基本とする一方、色合わせや模様合わせなどによって傷んだ部分と補修を要する範囲に差が出る場合も想定されています。

一室張替えと言われたときも、

「一室を張り替える理由は分かりました。借主負担としている範囲は、どこまでになりますか?」

と聞くことができます。

工事そのものを否定する必要はありません。

工事が必要な理由を聞いたうえで、自分の負担範囲を確認する。

この順番なら、話もしやすくなります。

6年以上住んでいたらフローリング代は0円?|「6年ルール」だけでは決められない

「賃貸は6年以上住めば、原状回復費用がほとんどかからない」

という話を聞いたことがあるかもしれません。

そのため、

「もう6年以上住んでいるから、フローリングも0円では?」

と思って調べている人もいるでしょう。

そう思いますよね。

ただ、ここは少し残念な話になるかもしれません。

フローリングの補修は、クッションフロアやカーペットなどと同じ「6年」の考え方へ、そのまま当てはめることができないのです。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、カーペットやクッションフロアについては6年で残存価値1円となるよう負担割合を考える一方、フローリングの補修については経過年数を考慮しない整理になっています。

クッションフロアの6年ルールとフローリング部分補修・全面張替えの経過年数の違い

「6年以上住んだ=フローリング補修費0円」ではない

たとえば、不注意でフローリングの一部分を傷付け、その部分の補修が必要になった場合、

「もう6年以上住んだから補修費は0円」

とは単純に考えることができません。

壁紙やクッションフロアで見かけた「6年」という数字だけを、フローリングにもそのまま当てはめないほうがよいところです。


「6年ルールそのものを先に整理したい方は、壁紙・クッションフロア・設備などの違いをこちらで確認できます。」

賃貸の原状回復「6年ルール」とは?6年以上なら退去費用は0円?対象と計算方法を解説
賃貸の原状回復「6年ルール」とは?壁紙・クッションフロアなど6年で残存価値1円となる対象、負担割合の計算例、6年以上住んでも退去費用が必ず0円にならない理由を国交省ガイドラインと職人目線で解説します。

では、長く住んだことはまったく関係ないの?

ここで次に、

「じゃあ10年住んでも、新品と同じ扱いなの?」

と思うかもしれません。

それも一律ではありません。

国土交通省のガイドラインでは、フローリング全体にわたる損傷などによって床全体を張り替える場合は、建物の耐用年数をもとに経過年数を考慮する考え方が示されています。

つまり、

「6年以上なら0円」

でも、

「フローリングなら何年住んでも経過年数は一切関係ない」

でもありません。

何の工事として請求されているのかによって、確認する内容が変わります。

「6年だから0円ですよね?」より、確認したいこと

すでに見積書があるなら、

「この請求では、経過年数はどのように扱われていますか?」

と確認したほうが話を整理しやすくなります。

6年ルールを完璧に説明できる必要はありません。

知っておきたいのは、

「6年」という数字だけで払う・払わないを決めるのではなく、

今回の請求ではどう扱われているのかを確認できることです。

では、どんな傷が借主負担になりやすい?|原因を当てるより、確認できる事実を整理する

ここまで読むと、

「じゃあ、私の傷は借主負担になるの?」

が気になると思います。

ただ、写真を見ながら、

「きっとこれが原因だ」

と自分で原因を当てる必要はありません。

国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による損耗や経年変化と、借主の故意・過失や通常の使用を超える使い方などによる損耗を分けて考えています。

たとえば、家具を普通に置いたことによる床のへこみ・設置跡は通常使用側の例に、引っ越し作業などで生じた傷は借主側の負担となり得る例に整理されています。

状態・出来事まず考える方向
家具を普通に置いてできたへこみ・設置跡通常使用による損耗として考えられる例
引っ越しや家具移動で付けた引っかき傷借主負担になる可能性がある
物を落としてできた深い傷・へこみ不注意による損傷として確認する
キャスターなどの使用で広がった傷使用状況や傷み方を確認する
水濡れなどを放置し、変色や膨れが広がった放置によって被害が広がったかも確認する
ペットによる引っかき傷通常使用を超える損傷として借主負担になる可能性がある
日照などによる自然な色あせ経年変化として考えられる
建物側の雨漏りで生じた変色借主の不注意とは分けて考える
入居時の写真などで、入居前からあったと確認できる傷現在の借主が入居後に付けた傷ではない

この表だけで負担を確定するためのものではありません。

自分の状況を整理するための目安です。

家具を置いてできたへこみについて詳しく確認したい場合は、こちらも参考にしてください。

賃貸の家具跡・床のへこみは請求される?ベッド・タンス・冷蔵庫の設置跡と退去費用
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引っ越し作業で壁や床へ傷が付いた場合は、傷を付けた人によって確認先も変わります。

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原因が分からなければ、無理に決めなくていい

掃除をしていて初めて気付いた。

いつ付いたのか覚えていない。

入居時からあったような気もするけれど、写真は残っていない。

そういう傷もあります。

そのとき、

「たぶん自分が家具を動かしたときだと思います」

などと、分からない原因まで自分で決める必要はありません。

確認できるのは、

・いつ気付いたか
・どこにあるか
・どのくらいの範囲か
・入居時の資料に写っているか
・はっきりした心当たりがあるか

そこまでです。

分からないことは「分からない」で構いません。

原因を断定できなくても、次の確認には進めます。

フローリングの補修費・張替え費はいくら?|金額より先に「何を直す費用か」を見る

「結局、いくらくらいかかるの?」

ここは避けて通れないところです。

ただ、フローリングについては、傷の長さや写真だけから全国共通の金額を出すことはできません。

同じ「床の傷」でも、

・表面を補修するのか
・床材そのものを交換するのか
・部分的な施工なのか
・一室に及ぶのか
・同じ床材が入手できるのか
・下地まで傷んでいるのか

によって工事内容そのものが変わります。

ですから、見積書を受け取ったら、

「高いか安いか」

より先に、

「何をどこまで直す金額なのか」

を見てください。

たとえば、

「フローリング補修 一式」

とだけ書かれていて内容が分からなければ、

「この金額には、どこからどこまでの工事が入っていますか?」

と確認できます。

金額の妥当性を考えるためにも、先に工事内容が分からなければ比較しようがありません。

ここまで分かれば、

「よく分からないけど8万円だった」

ではなく、

「この範囲を、この方法で直すための8万円なんだ」

と一歩進んで考えられます。

それだけでも、見積書の見え方はかなり変わります。

退去前に傷を見つけたら|今やることと、まだやらなくていいこと

退去が近づいてから傷を見つけると、

「このまま退去日を迎えていいのかな」

と気になると思います。

まずは、今の状態を残してください。

傷が部屋のどこにあるか分かる写真。

傷そのものが分かる近い写真。

できれば両方あると、あとから状態を確認しやすくなります。

入居時の写真やチェックシートがあれば、同じ場所も確認します。

契約書や特約も、必要になったとき見られるようにしておきましょう。

まだ自分で補修していないなら、ここで急いで色を塗ったり、削ったり、埋めたりする必要はありません。

今の状態を確認してからでも遅くありません。

ただし、水濡れなどで現在も傷みが広がっている場合は別です。

今も水が入り続けている。

床が濡れている。

膨れが広がっている。

そういう場合は「退去までそのまま」にせず、被害を広げない対応と管理会社への連絡を優先します。

すでにある傷なのか。

今も被害が進んでいるのか。

ここは分けて考えてください。


「フローリング以外も含めて退去前に確認しておきたいことは、こちらのチェックリストにまとめています。」

賃貸の退去前にやることチェックリスト|退去費用・原状回復で確認したい7つのポイント
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退去立会いで傷を指摘されたら|詳しくなくても確認はできる

立会いで担当者から、

「ここは張替えになりますね」

と言われたら、

「プロがそう言うなら、そうなんだろう」

と思ってしまうかもしれません。

知らない専門用語が出てくれば、なおさら話しにくくなります。

でも、相手より詳しくなる必要はありません。

必要なのは、

「分からないことを、そのままにしないこと」

です。

たとえば傷を指摘されたら、

「傷があることは確認しました。負担する範囲や金額は、見積内容を見てから確認してもよいですか?」

と聞けます。

一室張替えと言われたなら、

「この範囲を張り替える理由を教えてもらえますか?」

でも十分です。

ここで「交渉に勝つ」必要はありません。

理由を聞く。

分からないところを確認する。

金額がまだ出ていないなら、見積書で確認する。

その場で理解できなければ、一度持ち帰って確認する。

そうやって話を一つずつ分けるだけでも、

「プロに言われたら、そのまま受け入れるしかない」

という状態から抜けられます。

書類への署名を求められたときも、まずは何について確認・同意する書類なのかを読んでください。

負担内容や金額に関係する部分が分からなければ、その意味を確認してから判断します。


「立会いで書類へのサインを求められたときに確認したいことは、こちらで詳しく解説しています。」

賃貸の退去立会いでサインする前に確認すること|費用負担で後悔しない7つのポイント
賃貸住宅の退去立会いでは、管理会社や貸主の担当者と一緒に部屋の傷や汚れを確認します。そのとき、「こちらにサインをお願いし…

見積書・請求書が届いたら|金額だけでなく「何の費用か」を確認する

請求書を開けば、最初に合計金額へ目が行くと思います。

高い金額なら、

「こんなに払うの?」

と思うのも自然です。

ただ、

「8万円だから高すぎる」

「3万円なら安いから仕方ない」

だけでは、まだ判断できません。

まず確認したいのは、

「何に対する金額なのか」

です。

・どの傷を直すのか
・どこまで施工するのか
・そのうち借主負担としているのはどの範囲なのか
・数量や単価はどうなっているのか
・経過年数はどう扱われているのか
・契約書や特約とどう関係しているのか

を見ます。

たとえば傷は一か所なのに、一室分の施工が入っているなら、

「一室を施工する理由と、そのうち借主負担としている範囲を確認したいです」

と聞けば、工事の話と負担の話を分けられます。

請求内容を確認することは、

「払いたくないから争うこと」

ではありません。

自分が何に対して支払うのかを理解するための確認です。

納得して支払うためにも、分からないところは聞いて構いません。


「フローリング以外も含めて見積書の読み方を確認したい方は、こちらの記事も参考にしてください。」

退去費用の見積書はどこを見る?「これって普通?」と思ったときの確認ポイント【賃貸】
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分からないときは、こう聞けばいい|そのまま使える確認フレーズ

ここまで読んで、

「言っていることは分かった。でも、実際に何と言えばいい?」

と思う人もいるでしょう。

そういうときは、反論から始める必要はありません。

「確認したいです」

から始めると話しやすくなります。

退去立会いでフローリングの張替え理由や借主負担範囲を確認する女性

全面張替えについて聞きたいとき

「傷がある部分は分かりました。全面張替えになる理由を教えていただけますか?」

工事範囲と負担範囲を確認したいとき

「工事をする範囲と、私が負担する範囲は同じということでしょうか?」

6年や経過年数が気になるとき

「この見積では、経過年数はどのように扱われていますか?」

契約書との関係を確認したいとき

「この負担について、契約書のどの部分が関係しているか確認してもいいですか?」

その場で判断できないとき

「一度、見積内容を確認してから返答してもよいでしょうか?」

こうした言葉を知っておくだけでも、

「相手はプロ、自分は素人」

という一方的な関係ではなくなります。

相手を言い負かすための知識ではありません。

同じ内容を見ながら、対等に確認するための知識です。

「おかしいです」

「絶対に払いません」

と言わなくても、聞くべきことは聞けます。

自分で補修する前に確認してほしいこと

退去費用が心配なら、

「今のうちに目立たなくできれば、請求されずに済むかも」

と思うこともあるでしょう。

小さな傷なら、市販の補修ペンや補修材で何とかなりそうにも見えます。

ただ、フローリングは色だけ合わせれば自然に直るとは限りません。

木目。

艶。

表面の凹凸。

周囲の色あせ。

光が当たったときの見え方。

少しずれるだけでも、傷より補修跡のほうが目に入ることがあります。

また、埋めた材料などを専門補修の前に取り除かなければならない場合もあります。

だからといって、

「自分では絶対に触ってはいけない」

という話でもありません。

日常のお手入れ程度で対応できるものもあります。

ただ、

「退去費用を減らすために傷を隠そうとして、作業範囲を広げる」

のは慎重にしたほうがよいです。

まだ補修していなければ、先に写真を残す。

すでに補修してしまったなら、さらに上から塗ったり削ったりする前に、今の状態を残す。

それから次を考えます。

「もう触ってしまったから遅い」

と考える必要はありません。

今の状態から確認を始めればよいです。

職人目線|床の傷は「傷の大きさ」だけでは補修方法を決めない

現場で床の傷を見るとき、

「何cmあるか」

だけで補修方法を決めるわけではありません。

同じ10cmの傷でも、表面に薄く付いた傷と、床材そのものまで深く傷んだものでは対応が変わります。

傷の場所。

床材の種類。

周囲との色や艶。

一か所だけなのか、同じような傷がほかにもあるのか。

床材を交換するなら、板と板がどう組み合わさって施工されているかも見ます。

必要なら、表面だけの傷なのか、その下まで影響しているのかも確認します。

フローリングの傷だけでなく床材や周囲の状態を確認する職人

現場では、

「小さい傷だから簡単」
「大きい傷だから全部張替え」

と、サイズだけで決めているわけではありません。

もちろん、ここまで読者のあなた自身が判断できるようになる必要はありません。

知っておいてほしいのは、

「補修方法や施工範囲には、それを選ぶ理由がある」

ということです。

だから見積書を見て分からなければ、

「なぜこの直し方になるのですか?」

と聞いて構いません。

理由が分かれば、

「広く直すと言われたから高い」

だけではなく、

「どんな工事をするのか」
「そのうち自分はどこまで負担するのか」

を分けて考えやすくなります。

よくある質問|賃貸フローリングの傷

Q.木目に見える床なら、全部フローリングですか?

いいえ。

木目調でも、クッションフロアやウッドタイルなど別の床材があります。

床材が違えば補修方法や経過年数の考え方も変わるため、見た目だけでは判断しないほうがよいです。

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クッションフロアの傷・へこみ・変色は借主負担?家具跡や引きずり傷、黒ずみ・焦げなどケース別の判断、CFの6年ルール、全面張替えを請求された場合の確認ポイントを国土交通省ガイドラインと現場目線で解説します。

Q.入居時の写真がありません。自分の負担になりますか?

写真が残っていないという理由だけで、すぐにすべて借主負担と決めつけるのではなく、ほかに確認できるものがないか整理します。

いつ気付いたのか。

傷の場所や状態。

入居時のチェックシート。

管理会社側に入居時の記録が残っていないか。

確認できるものを探してみましょう。

原因が分からなければ、無理に自分で決める必要もありません。

Q.すでに自分で補修してしまいました

まず、今の状態を写真で残してください。

補修跡が気になっても、さらに色を重ねたり削ったりすると、かえって状態が分かりにくくなることがあります。

追加で手を入れる前に、一度その状態で確認するほうが失敗しにくくなります。

Q.自分で補修業者を頼んだほうが安くなりませんか?

安く直せる可能性だけで先に決めないほうがよいです。

賃貸では、その方法で修繕してよいのかを貸主・管理会社へ確認したほうがよい場合があります。

「安く直せるか」

と、

「その直し方でよいか」

は分けて考えます。

Q.全面張替えと言われたら、断ればいいですか?

「全面張替えだから断る」

と先に決める必要はありません。

広い範囲を施工する理由がある場合もあります。

まず、

「なぜこの範囲を張り替えるのですか?」

と理由を確認します。

そのうえで、

「工事をする範囲」と「自分が費用を負担する範囲」

を分けて確認してください。

まとめ|今の自分の段階に合わせて、次に確認することを決める

フローリングの傷を見つけると、

「全部張替えになるのでは」

「いくら請求されるんだろう」

「相手はプロだから、言われた通りにするしかないのかな」

と考えてしまうことがあります。

特に、傷を付けた心当たりがあると、

「自分が悪いんだから仕方ない」

と、分からないところまでそのまま受け入れそうになることもあるでしょう。

でも、最初から全部を判断する必要はありません。

退去前なら、まず今の状態を残す。

立会いで指摘されたら、傷があることと費用負担を分けて考える。

見積書や請求書が届いたら、金額だけでなく、何をどこまで直す費用なのかを見る。

全面張替えと言われたら、その工事になる理由を聞く。

分からないところがあれば、

「ここを確認したいです」

と伝える。

そこまでできれば、次に何をすればよいかがかなり見えやすくなります。

この記事を読む前は、

「この傷はいくらになるんだろう」

と答えの見えない金額を探していたかもしれません。

でも今なら、

「何を確認すれば金額の理由が見えてくるのか」
「何をその場で決めなくてもいいのか」
「分からないときに、何と聞けばいいのか」

少なくとも、その順番は分かるはずです。

専門家と同じ知識を持つ必要はありません。

全部を一人で判断する必要もありません。

自分で確認できるところまで確認できれば、その先は管理会社や必要な相談先へ、具体的に話を持っていけます。

「何となく不安だから、もう少し検索してみよう」

と同じ情報を探し続けるより、

まず自分が今どの段階にいるのかを確認して、必要な一つから進めてみてください。

それができれば、分からないまま話が進む状態からは、もう一歩抜け出せています。

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参考資料

この記事では、主に以下の公的資料を参考にしています。

・国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」
・国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)」
・国土交通省「賃貸住宅標準契約書について」
・e-Gov法令検索「民法」第621条(賃借人の原状回復義務)

国土交通省のガイドラインは、賃貸住宅の原状回復について一般的な考え方を示したものです。

実際の負担は、契約内容、特約、床材、損傷の状況、補修方法などによって個別に確認する必要があります。