フローリングの傷は請求される?【賃貸の修理費と原状回復の基準】 

そもそも原状回復のルール自体が分からない方は、
原状回復とは?」を先に確認しておくと全体が理解しやすいです。

フローリングの傷は請求される?結論

フローリングの傷は、原因によって請求されるかどうかが決まります。

入居者の不注意や過失によってついた傷は請求対象になりますが、
普通に生活していてつく程度の劣化や自然な傷は、請求されないケースがほとんどです。

これは民法や国土交通省のガイドラインで、

**「故意・過失は借主負担」「経年劣化は貸主負担」**と考え方が定められているためです。(国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づく考え方)

請求されるかは「傷の原因や補修の範囲」で決まる

■ 請求されるケース(入居者の責任)

  • 重い家具を引きずったような擦り傷
  • 物を落としてできた傷
  • 椅子やキャスターによる擦り傷
  • ペットによる引っかき傷
  • 水をこぼして放置し、変色や膨れが出た場合

■ 請求されないケース(大家さん側の負担)

  • 日焼けによる色あせ
  • 通常の生活でつく軽微な傷
  • 経年劣化による傷み
  • 入居時からあった傷やへこみ

フローリングの修理費用の目安

フローリングの修理費用は、傷の大きさや範囲によって大きく変わります。

  • 部分補修:数千円〜5万円程度
  • 張り替え:3~5万円〜30万円以上
    (あくまで基準です)

特に注意したいのは、**「どの範囲まで補修するか」**です。

  • 軽微な補修(表面的な浅い傷など)数千円~3万円程度
  • 通常の補修(張り替えをしないで直せる範囲)3万円~5万円程度(高い技術力が要求される補修)
  • 張り替え(深刻なダメージ・広範囲のダメージ)1平米あたり数千円~1万円×面積(無垢材はもっと高額)

傷が一部でも、部屋全体の張り替え費用になっている場合は、

その範囲が適切かどうか?なぜ全体張り替えなのか?の理由を確認することが大切です。

なお、全面張り替えになった場合でも、必ずしもその費用を全額負担するとは限りません。(経過年数に応じて負担割合が調整されるため)

壁紙と同じ「6年ルール」は適用される?

本物の木材を使ったフローリングの原状回復においては、壁紙のように「6年ルール」がそのまま適用されることはありません。(複合フローリング・無垢フローリングの場合)

これはフローリングの修繕箇所が部分補修なのか、

全面張り替えなのかによって扱いが変わってきます。

部分補修の場合

基本的に経過年数は考慮されません。

フローリングの傷やへこみが入居者の故意・過失によるものである場合、住んだ年数に関係なく

補修費用(または部分補修にかかる費用)は入居者負担となります。

全面張り替えの場合

フローリングの全面張り替えとなった場合、経過年数は考慮されます。

この場合の耐用年数は6年ではなく、建物の耐用年数を基準に計算されます。

国税庁が定める法律上の住宅用の耐用年数

  • 木造 22年
  • 軽量鉄骨造 19年27年34年(骨格材の厚みによる)
  • 鉄筋コンクリート造(RC)・鉄筋鉄骨コンクリート造(SRC)47年
    (実際の建物の寿命という意味ではありません)

複合フローリング・無垢フローリング以外の床材の場合

だたし、フローリング柄のウッドタイル、塩化ビニル製(塩ビ製)のクッションフロア(CF)

そして、カーペットや絨毯は床材単体で「6年ルール」が適用され、賃貸住宅の原状回復において、

6年以上住んでいれば、基本負担額は残存価値が1円(ほぼ負担なし)に近づきます。

注意すべきポイント

ウッドタイルやクッションフロアであっても、入居者の明らかな不注意や、吹き込んだ雨を放置した変色や腐食など、過度な破損で全面張り替えが必要な場合は、

その建物の構造や状況によっては別途判断が必要とされる場合があります。

退去時に損しないための対処法

フローリングに傷をつけてしまった場合は、次の対応が重要です。

  • 傷の状態を写真で残す
  • いつ・どのようにできたかを整理する
  • 退去する前に記憶が新しいうちに正直に伝える
  • 見積書の内容をしっかり確認する

特にフローリング(複合フローリング・無垢フローリング)は、
補修範囲の判断で金額が大きく変わるため注意が必要です。

入居中に修繕が必要な損傷等に気がついた場合は、速やかに大家さん、もしくは管理会社等に連絡
しましょう。保険に加入している場合は保険の対象になる場合もあるようです。

また、入居時の写真があれば
最初からあった傷かどうかの判断材料になります。

やってはいけないNG行動

■ 自分でDIY補修する

無断で修繕を行った場合はトラブルの元です。

床の補修(特にフローリング)の木目の色合わせは難易度が高く

市販の補修キットなどで直そうとしても、
色や質感が合わず、逆に目立ってしまうことがあります。

結果として、補修ではなく張り替え扱いになるケースもあります。


■ 傷を隠す

家具やラグで隠しても、退去時のチェックでほぼ確実に見つかります。
隠そうとすると、かえってトラブルの原因になります。


■ その場で見積にサインする

内容をよく確認せずに同意すると、
本来必要のない費用まで負担してしまう可能性があります。

職人目線|フローリングの傷はここで判断される

■ フローリングの傷はほぼバレます

ぱっと見わからないように見えても、
光の当たり方や角度で傷ははっきり浮き出ますし、新しい傷はどうしても目立ってしまいます

特に退去前のチェックでは、昼間の自然光+照明で角度を変えながら確認するため、

「普段は気にならない傷」でもほぼ見逃されることはありません。

特にワックスでごまかした場合でも、
不自然なツヤやムラで分かることが多いです。

市販の補修キットの宣伝文句通りにいかない場合も多く、補修するのは難易度が非常に高いです

■ 「補修で済むか」が重要な分かれ道

現場では、

  • 小さい傷 → 部分補修
  • 深い傷や広範囲 → 張り替え

という判断になります。

この判断次第で、
数千円で済むか、数万円以上になるかが変わります。

■ DIYは“やり方次第で逆効果”

普段からそのような現場を見てきている立場としても

ピンポイントな小さな傷だし・・と、なんとかしたい気持ちはとても分かります
しかし、 知識がないままの補修は逆に状態を悪化させることもあります。

それでも、もしチャレンジする場合は、
同じ色合いのフローリング材をホームセンター等で1枚だけ購入し、

似たような傷をつけて必ず事前に練習するなど慎重に行うことをおすすめします。

まとめ

これまでお伝えしてきた知識は、

「戦うため」ではなく「納得して解決するため」のものです。

ここまでお伝えしてきた内容は、

 トラブルを防ぎ、納得して解決するための知識です。

フローリングの傷に関する原状回復には、
ガイドラインに基づいた明確なルールがあります。

大切なのは、どちらか一方が損をすることではなく、
ルールに沿って適切に負担を分けることです。

管理会社さんや大家さんも、
そのルールに基づいて見積もりを出しています。

落ち着いて内容を確認し、正直に状況を伝えることで、
トラブルを防ぎ、気持ちよく退去を迎えることができます。

壁紙(クロス)の破れや穴も同じように請求トラブルになりやすい部分です。
気になる方は「壁紙(クロス)の破れは請求される?」も確認してみてください。

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