賃貸の入居時に写真を撮るべき場所は?退去費用トラブルを防ぐ撮影ポイント

賃貸住宅への入居時に壁や床の状態をスマートフォンで撮影する女性のイラスト

賃貸住宅へ入居するとき、

「傷があったら写真を撮っておいたほうがいい」

と聞いたことがある方も多いと思います。

でも実際には、

「どこまで撮ればいいの?」

「小さな傷まで全部必要?」

「写真を撮るだけでいいの?管理会社にも送る?」

と迷いますよね。

先に結論をお伝えします。

入居時の写真は、家具や荷物を入れる前に、できるだけ部屋全体を確認して残しておくことをおすすめします。

特に重要なのは、

すでにある傷・汚れ・変色・へこみ・設備の不具合

です。

なぜなら、退去時になってから、

「この傷は入居前からあった」

と説明しても、それを確認できる記録がなければ話が食い違うことがあるからです。

国土交通省も、入居時と退去時に物件の状態を確認し、チェックリストや写真を残すことは原状回復トラブルを防ぐうえで有効としています。

この記事では、

どこを撮るのか

だけではなく、

どう撮ればあとから見ても分かるのか

設備は何を確認するのか

気になる傷を見つけたらどうするのか

まで、現場目線から分かりやすく解説します。

なぜ入居前からあった傷は原則として借主の原状回復対象にならないのか、通常損耗・経年変化の基本はこちらで解説しています。

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結論|入居時の写真は「家具を入れる前」が一番撮りやすい

Q.入居時の写真は本当に撮ったほうがいいですか?

はい。

できれば撮っておくことをおすすめします。

国土交通省の原状回復ガイドラインでは、原状回復トラブルの原因の一つとして、

入居時からあった損耗なのか、入居後にできた損耗なのか分からなくなること

があります。

そのため、入居時と退去時に物件の状態を確認し、チェックリストや写真などで記録を残しておくことが大切です。

そして実際に撮るなら、

荷物を運び込む前

が一番おすすめです。

家具。

冷蔵庫。

ベッド。

棚。

カーペット。

などを置いてしまうと、床や壁の一部が見えなくなります。

入居初日は忙しいと思います。

それでも、

荷物を置く前に、まず室内を一周して状態を確認する

くらいの時間は取っておくとよいでしょう。


写真は「全景・位置・アップ」の3段階で撮る

写真で一番困るのが、

「傷は写っているけれど、部屋のどこなのか分からない」

という状態です。

例えば床の傷だけをアップで撮影しても、

数年後に見返したとき、

「これ、リビングだっけ?」

「寝室だったかな?」

となることがあります。

そこでおすすめなのが、次の3段階です。

① 部屋全体を撮る

まず、その部屋だと分かる写真を撮ります。

② 傷の位置が分かる距離で撮る

壁の角。

窓の横。

ドアの近く。

など、場所が特定できるように撮ります。

③ 傷・汚れをアップで撮る

最後に、実際の状態が分かる写真を撮ります。

つまり、

全景
↓
位置が分かる写真
↓
傷のアップ

です。

この3枚がそろっていると、数年後でも状況を確認しやすくなります。

傷の大きさを残したい場合は、メジャーなどを一緒に写しておく方法もあります。

賃貸の入居時に傷を部屋全体・位置が分かる距離・アップの3段階で撮影する方法の図

最優先で撮りたいのは「すでにある傷・汚れ」

全部の場所を同じ細かさで撮る必要はありません。

特に優先したいのは、

入居した時点ですでに気になる状態になっている場所

です。

例えば、

  • 壁紙の破れ・めくれ
  • 壁の穴・へこみ
  • 床の傷・へこみ・変色
  • 建具の傷
  • 照明カバーの歪み・割れ
  • 天井のシミ
  • カビや黒ずみ
  • 水回りの汚れ
  • サッシや窓まわりの傷
  • 設備の割れ・欠け
  • 収納内部の傷や汚れ

などです。

小さな傷でも、

「あとで自分が付けたと言われたら説明しにくそうだな」

と感じたものは撮っておいて構いません。

写真を残すこと自体に遠慮する必要はありません。


壁・床・天井|広い面ほど全体写真を残す

壁

壁紙は、

  • 破れ
  • めくれ
  • 汚れ
  • シミ
  • 穴
  • 補修跡

などを確認します。

特に壁の角や家具を置きそうな場所は、あとから隠れやすいので先に確認します。

床

床は、

  • 線傷
  • へこみ
  • 浮き
  • 剥がれ
  • 変色
  • シミ

などを見ます。

そして、傷のアップだけでなく、部屋全体も撮ってください。

床のアップ写真だけでは、あとから場所が分からなくなることがあります。

天井

天井は見落としやすい場所です。

  • シミ
  • 変色
  • クロスの浮き
  • 補修跡

などがないか確認します。

特に窓際や水回りに近い場所にシミがあれば、写真を残しておくとよいでしょう。


ドア・建具・収納|開けた状態も確認する

ドアや収納は、閉まっている状態だけでなく、

実際に開閉して確認

してください。

例えば、

  • ドア表面の傷
  • 枠の傷
  • へこみ
  • 扉の傾き
  • 開閉時の引っ掛かり
  • 収納内部の汚れ
  • 棚板の破損

などです。

収納は、入居後すぐに荷物で埋まってしまいます。

そのため、

空の状態を撮れるのは入居時だけ

と考えておくとよいでしょう。


窓・サッシ・網戸|ガラスだけでなく周囲も撮る

窓まわりでは、

  • ガラスのひび
  • サッシの傷
  • 網戸の破れ
  • ゴム部分の劣化
  • 窓枠のシミ
  • 結露跡
  • カビ

などを確認します。

特に小さなガラスのひびや網戸の破れは、後になって気付くことがあります。

また、窓の開閉も一度試しておくとよいでしょう。


キッチン・浴室・洗面・トイレは細かく確認する

水回りは確認する場所が多いです。

キッチン

  • シンク
  • 水栓
  • コンロ
  • 換気扇
  • 収納
  • 天板
  • 給排水部分

浴室

  • 浴槽
  • 壁
  • 床
  • ドア
  • シャワー
  • 水栓
  • 鏡
  • 換気扇

洗面所

  • 洗面ボウル
  • 水栓
  • 鏡
  • 収納
  • 洗濯機置場
  • 床

トイレ

  • 便器
  • タンク
  • 温水洗浄便座
  • 床
  • 壁
  • 換気扇

を確認します。

特に、

割れ・欠け・ひび・水漏れ跡・変色

があれば写真を残してください。

国土交通省の入退去時物件状況確認リストでも、玄関、居室、台所、浴室、洗面所、トイレなどを部位ごとに確認する形になっています。

賃貸の入居時に写真を残したい壁・床・建具・窓・水回り・設備など7か所のチェック図

設備は「見た目」だけでなく動作も確認する

Q.傷がなければ、設備の写真は必要ありませんか?

いいえ。

エアコンや給湯器などは、

見た目がきれいでも正常に動くとは限りません。

入居したら、可能な範囲で、

  • エアコンが動くか
  • リモコン類は正常か
  • お湯が出るか
  • 換気扇が動くか・異音がしないか
  • 水栓から水漏れしていないか
  • トイレが正常に流れるか
  • インターホンが使えるか
  • 備え付け照明が点灯するか

などを確認してください。

エラー表示が出る。

異音がする。

水が漏れる。

などがあれば、写真だけでなく動画も役立ちます。

国民生活センターも、入居時には傷や汚れだけでなく、エアコンなど備え付け設備が正常に動作するか確認するよう案内しています。

入居後に備え付け設備が故障した場合、誰が修理するのか、自分で業者を呼んでよいのかはこちらで解説しています。

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職人目線|家具を置くと見えなくなる場所を先に見る

入居時の確認で、私が特に大切だと思うのは、

「このあと見えなくなる場所はどこか」

という視点です。

例えば、

冷蔵庫を置く壁と床。

ベッドを置く床。

大型家具の後ろになる壁。

テレビ台を置く場所。

収納の奥。

洗濯機の下や周辺。

こうした場所は、家具や家電を置いてしまうと、次にきちんと見られるのが退去時になることもあります。

そこで退去時に傷を見つけても、

「最初からあったのか」

「入居中にできたのか」

分からなくなってしまいます。

だから私は、

実際に置く予定の家具を設置したイメージで「置く予定の場所」を優先的に見ておくことをおすすめします。

入居時は「傷を探す」だけではなく、「あとで隠れる場所を先に見る」

のがおすすめです。

現場でも、最初の状態が分かる記録があるだけで、判断しやすさは大きく変わります。

現場の職人が入居時に家具や家電で隠れる前の壁や床、収納内部を確認するイラスト

ちなみに私自身も、以前二年間ほど賃貸住宅に住んだことがあります。
入居時には気になる場所の写真をしっかり残していました。
退去するときにも入居時の状態を確認でき、結果として大きなトラブルなく退去することができました。


写真を撮ったら「元データ」を残しておく

写真を撮って終わりではありません。

数年住むことになれば、

「入居時の写真、どこに保存したっけ?」

となることがあります。

そこで、

「〇〇マンション 入居時」

など、分かりやすいアルバムやフォルダを作って保存しておくことをおすすめします。

特に大切な写真は、

  • スマートフォン本体
  • クラウド
  • パソコン

など、消失しにくい方法で保管しておくと安心です。

撮影日時などの情報が確認できるよう、

編集前の元データも残しておく

とよいでしょう。

SNSやメッセージアプリへ送った画像だけではなく、元の写真を保存しておくのがおすすめです。


気になる傷を見つけたら管理会社にも伝える

Q.写真を自分で持っているだけで大丈夫ですか?

写真を残すだけでも意味はありますが、気になる状態は管理会社・貸主側にも伝えておくことをおすすめします。

例えば、

「本日入居しました。リビング床に入居時から傷があったため、念のため写真を送ります。」

程度で構いません。

管理会社のアプリ。

メール。

問い合わせフォーム。

など、後から確認できる方法を使うと記録が残ります。

重要なのは、

「修理してください」

と言うことではありません。

入居時から存在した傷なら、

「この状態で入居した」という認識を共有する

ことが目的です。

もちろん、不具合や水漏れなど実際に修繕が必要な状態であれば、そのことも一緒に伝えてください。


入居時チェックシートがあるなら必ず使う

管理会社や不動産会社から、

「入居時チェックシート」

や、

「現況確認書」

のような書類を渡されることがあります。

この場合は、写真だけで済ませず、その書類も確認してください。

傷や汚れがあれば、

場所。

状態。

大きさ。

などを分かる範囲で記入します。

また、

提出期限が設定されている場合は、その期限も確認してください。

国土交通省の原状回復ガイドラインにも、「入居時・退去時物件状況確認リスト」の例が掲載されています。

写真とチェックリストはどちらか一方ではなく、

文字で残す+写真で残す

という形にすると、状況がさらに分かりやすくなります。


入居して数日後に傷に気付いた場合はもう遅い?

Q.入居当日に撮り忘れました。もう意味はありませんか?

いいえ。

気付いた時点で記録してください。

ただし、時間が経つほど、

「いつからあった状態なのか」

を確認しにくくなります。

そのため、入居後すぐに気付いたのであれば、

写真を撮り、

「入居後〇日目に気付きました」

と管理会社へ伝えておくとよいでしょう。

「初日に撮れなかったから、もう何もしない」

ではなく、

気付いたときに記録して連絡する

ことが大切です。


写真だけで退去費用が必ずゼロになるわけではない

Q.入居時の写真さえあれば、退去費用は請求されませんか?

いいえ。

写真は、

入居時の状態を確認するための重要な資料

です。

しかし、写真があるから退去時の費用がすべてなくなるわけではありません。

入居後に借主が付けた傷。

通常の使用を超える損傷。

手入れを怠って広がった汚れやカビ。

などがあれば、別に判断する必要があります。

反対に、入居前から存在した傷については、写真や確認書があれば、

「これは入居後にできた傷ではない」

と確認しやすくなります。

つまり写真の役割は、

「請求をゼロにするため」ではなく、「いつ・どの状態だったのかを確認できるようにするため」

です。


NG行動|入居時の写真で避けたいこと

傷だけをアップで1枚撮る

おすすめしません。

場所が分からなくなることがあります。

全景・位置・アップの順で残してください。

荷物を全部入れてから確認する

もったいないです。

床や壁が家具で隠れる前に確認するほうが、状態を記録しやすくなります。

写真を撮ったから管理会社には何も伝えない

気になる傷や不具合は、できれば共有しておくことをおすすめします。

双方で入居時の状態を確認しやすくなります。

小さな不具合だから放置する

おすすめしません。

水漏れや設備異常などは、放置すると被害が広がることがあります。

写真を長期間ほったらかしで適当に保存する

おすすめしません。

退去時に必要になる可能性があります。

分かりやすい場所に整理して保管してください。


Q&A|賃貸の入居時写真

Q.部屋中すべて撮らないといけませんか?

義務というわけではありません。

ただし、部屋全体の状態と、すでにある傷・汚れ・不具合はできるだけ記録しておくことをおすすめします。

Q.小さな傷も全部管理会社へ送りますか?

写真をすべて個別に送る必要があるとは限りません。

ただし、管理会社から入居時チェックシートや提出方法・期限を指定されている場合は、それに従ってください。

また、退去時に問題になりそうな傷・汚れ・不具合は、できるだけ記録して共有しておくことをおすすめします。

Q.動画だけでもいいですか?

動画も役立ちますが、写真も一緒に残すことをおすすめします。

静止画のほうが、特定の傷や場所を後から確認しやすい場合があります。

Q.管理会社と一緒に確認できませんでした。それでも写真を撮る意味はありますか?

あります。

自分で確認して写真やメモを残し、必要な箇所は管理会社へ共有してください。

Q.以前からあった傷を退去時に請求されたら、写真を見せれば必ず解決しますか?

必ずとは言えません。

契約内容や写真の内容、その他の記録も含めて確認されます。

ただし、入居時の状態を示す重要な判断材料になります。


まとめ|入居時の写真は「退去するときの自分への引き継ぎ」

入居したばかりのときに、

数年後の退去を想像する人は多くないと思います。

でも、退去する頃には、

「この傷、最初からあったかな?」

という記憶はかなり曖昧になっています。

だから入居時の写真は、

タイムカプセルとまでは言いませんが、

未来の自分に、入居時の状態を引き継ぐ記録

と考えると分かりやすいと思います。

特に確認したいのは次の場所です。

確認する場所主に見るポイント
壁・天井傷、穴、シミ、剥がれ、補修跡
床傷、へこみ、変色、浮き
ドア・収納傷、破損、開閉、収納内部
窓・サッシガラス、網戸、傷、カビ
水回りひび、欠け、汚れ、水漏れ跡
備え付け設備傷だけでなく正常に動くか
家具で隠れる場所家具・家電を置く前に確認

そして写真は、

全景
→ 位置
→ アップ

の3段階で残します。

気になる状態を見つけたら、

写真を撮る。

記録する。

必要なら管理会社へ共有する。

これだけでも、数年後の確認がずっとしやすくなります。

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また、入居後によくあるトラブルの一つが、トイレの詰まりや水漏れです。

設備の故障なのか、借主の使い方が原因なのかで負担が変わるため、いざというときの確認方法を知っておきましょう。

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参考資料